CrudeDrug:Glycyrrhizae Radix
Crude-drug Top Gallery |
General Index | Names | Prescriptions | Books | Journals | Terminology | Chinese Medicines |
Contents |
甘草 (Glycyrrhizae Radix)
甘草はマメ科のGlycyrrhiza uralensis FischerまたはGlycyrrhiza glabra Linnéの根およびストロンを基原とする。神農本草経の上品に収載され、甘味な甘草を諸薬の「君」とする72種の乳石毒を治療し、1200種の草本の毒を解毒するとされ、その薬効は調和することにあり、それゆえ『国老』の名称がある。厚生省(現厚生労働省)が指定した繁用漢方処方 210処方中 150品目(71.4%) に配合されている最も使用頻度の高い生薬である。 天然資源の乱獲、地球温暖化の影響を受け、砂漠化が拡大しているために、資源の枯渇が心配され、中国政府は採取や輸出を規制している。当社では自然環境に配慮した安定供給を目指し、2000年から中国陝西省で甘草の栽培研究を開始し、現在、日本薬局方に適合する甘草の栽培技術を確立した。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
Pictures
Photographs of Glycyrrhiza Licorice (カンゾウ) (by Alps Pharm. アルプス薬品) | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
処方の歴史
甘草は一般用漢方製剤213処方のおよそ70%に配合される主要薬のひとつ。「傷寒論」や「金匱要略」で既にそれぞれ70, 88処方に利用されている。「
市場規模
用途は調味料、エキス製剤、のど飴のほか、目薬、タバコのフレーバーにも使われる。主成分のグリチルリチンは現在、医薬品として使われる唯一のトリテルペンサポニンである。甘草根の世界市場規模はおよそ年間4200万米ドル (40億円[1])。主産出国は 中国 (39%:金額ベースのシェア、以下同)、 アゼルバイジャン (10%), ウズベキスタン (8%), トルクメニスタン (6%), シリア (5%), アフガニスタン (5%), キプロス (4%), イスラエル (4%)。
中国における甘草根の取引量は年間およそ6000トン(日本輸出1000, 韓国輸出1000, その他輸出2000, 国内2000)。これ以外にエキス抽出用に毎年7~80000トンが採集される。エキスにはグリチルリチンが30%ほど含まれる。殆どが野生品のため、資源の枯渇が懸念されている。 日本に輸入される甘草根は年間1500トン(輸入量の数字は財務省の統計情報より)、そのうち半分が生薬で残りは抽出精製用。中国産の輸入品は生薬用で400円/kg, アフガニスタン産は抽出用で100円/kg (2008年度), 価格は上昇傾向のため、栽培や育種が盛ん。 国内では武田薬品が品種選抜と塩ビ筒を用いた栽培法によって1年目で2.5%, 2年目で4-5%の含量を達成している。
- References
- ↑ データは和漢医薬学会2009における常盤植物化学研究所の講演より
製法
漢方薬におけるシャカンゾウ(炙甘草)はカンゾウを炙ったもの。
甘草
カンゾウ Glycyrrhiza | |
---|---|
Species * ... non-plant |
|
Part(s) Used | 根 |
Property | 本品はほぼ円柱形を呈し、径0.5~3.0cm、長さ1m以上に及ぶ。外面は暗褐色~赤褐色で縦じわがあり、しばしば皮目、小芽及びりん片葉を付ける。周皮を除いたものは外面が淡黄色で繊維性である。横切面では、皮部と木部の境界がほぼ明らかで、放射状の構造を現し、しばしば放射状に裂け目がある。ストロンに基づくものでは髄を認めるが、根に基づくものではこれを認めない。
本品は弱いにおいがあり、味は甘い。本品の横切片を鏡検するとき、黄褐色の多層のコルク層とその内層に1~3細胞層のコルク皮層がある。皮部には放射組織が退廃師部と交互に放射状に配列し、師部には結晶細胞列で囲まれた厚膜で木化不十分な師部繊維群がある周皮を除いたものでは師部の一部を欠くものがある。木部には黄色で巨大な道管の列と3~10細胞列の放射組織が交互に放射状に配列する。道管は結晶細胞列で囲まれた木部繊維及び木部柔細胞を伴う。ストロンに基づくものでは柔細胞性の髄がある。柔細胞はでんぷん粒を含み、また、しばしばシュウ酸カルシウムの単晶を含む。 |
Test | TLC法:本品の粉末2gにエタノール/水混液(7:3)10mLを加え、水浴上で5分間振り混ぜながら加熱し、冷後ろ過し、ろ液を試料溶液とする。別にグリチルリチン酸標準品5mgをエタノール/水混液(7:3)1mLに溶かし、標準溶液とする。これらの液につき、薄層クロマトグラフィーにより試験を行う。試料溶液及び標準溶液2μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする。次に1-ブタノール/水/酢酸混液(7:2:1)を展開溶媒として約10cm展開した後、薄層板を風乾する。これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき、試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは、標準溶液から得た暗紫色のスポットと色調及びRf値が等しい。 |
Drying loss | 12.0 %以下(6時間) |
Ash content | 7.0 %以下 |
Acid-insoluble ash | 2.0 %以下 |
Pharmacopeia | 日局 16-p1474 |
Effect | 緩和、鎮痛、鎮咳、去痰、解毒 |
Constituent | グリチルリチン、グリチルレチン酸、イソフラボン、リキルチン、イソリキルチン、フォルモノネチン、クマリン、アスパラギン glycyrrhizin, glycyrrhetic acid, isoflavone, liquiritin, isoliquiritin, formononetin, coumarin, asparagine |
Links |
References
- 【基原動植物から灰分等まで】第十六改正日本薬局方
- 【効能】矢作忠弘, 渥美聡孝, (以下8名)..., 牧野利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 2017
- 【成分】生薬単 (伊藤美千穂 北山隆 監修; 原島広至 著) NTS