CrudeDrug:Cinnamomi Cortex
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桂皮 (Cinnamomi Cortex)
桂皮はクスノキ科ケイCinnamomum cassia Blumeの樹皮または周皮の一部を除いたものを基原とする。同属植物の桂皮としてはセイロンケイヒCinnamomum verum J. Presl(Cinnamomum zeylanicum Nees)、ジャワケイヒCinnamomum burmanii、一部のベトナム桂皮Cinnamomum obtusifolium Neesなどがあるが、日局第13改正第一追補(1997年)で「その他同属植物」が削除されたことにより、現在、日本で流通する日局の桂皮はベトナム・中国で栽培されるC. cassiaだけである。日本産桂皮としてニッケイCinnamomum loureirii Neesの根皮も日局第7改正(1961年)まで収載されていたが、その後削除され流通もなくなってきた。現在、ベトナム、中国で栽培されている桂皮C. cassiaの原産はベトナムで、中国で栽培されているものはベトナムから移植されたものである。 桂皮類は本草書・医書によって「桂」「肉桂」「桂心」「桂枝」など数々の名称があり、使用にあたってはその違い、使い分けなどは未だに明確ではない。桂類薬物の薬名の考証(真柳誠 1995「中国11世紀以前の桂類薬物と薬名」『薬史学雑誌』30:96-115)によると、後漢時代の3世紀初に張仲景が編纂した医書から宋改(北宋政府校正医書局の林億らによる校訂)までの約1300年の記録を検討すると、配薬名と処方名の矛盾を解消し、張仲景の医書の3書「傷寒論」「金匱玉函経」「金匱要略」の記載を統一するために、桂類薬の名称は「桂心」の意味として「桂枝」に統一され、同時に方名も桂心…湯などは桂枝…湯などに改められたとされている(一部の疎漏を除く)。よって全ての張仲景医書に記載されている「桂枝」は小枝全体ではなく、「新修本草」(蘇敬・659年)における「肉桂」のことであり、また「桂枝去皮」の指示による周皮を除去した「桂心」のことであると考えられる。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
桂皮
ケイヒ Cinnamon Bark | |
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Species * ... non-plant |
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Part(s) Used | 樹皮 |
Property | 本品は、通例、半管状又は巻き込んだ管状の皮片で、厚さ0.1~0.5cm、長さ5~50cm、径1.5~5cmである。外面は暗赤褐色を呈し、内面は赤褐色を呈し、平滑である。破折しやすく、折面はやや繊維性で赤褐色を呈し淡褐色の薄層がある。
本品は特異な芳香があり、味は甘く、辛く、後にやや粘液性で、わずかに収れん性である。本品の横切片を鏡検するとき、一次皮部と二次皮部はほとんど連続した石細胞環で区分され、環の外辺にはほぼ円形に結集した繊維束を伴い、環の各石細胞の壁はしばしばU字形に肥厚する。二次皮部中には石細胞を認めず、まばらに少数の厚膜繊維を認める。柔組織中には油細胞、粘液細胞及びでんぷん粒を含む。放射組織中には微細なシュウ酸カルシウムの針晶を含む細胞がある。 |
Test | TLC法:本品の粉末2.0gにジエチルエーテル10mLを加え、3分間振り混ぜた後、ろ過し、ろ液を試料溶液とする。この液につき、薄層クロマトグラフィーにより試験を行う。試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする。次にヘキサン/酢酸エチル混液(2:1)を展開溶媒として約10cm展開した後、薄層板を風乾する。これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき、Rf値0.4付近に紫色のスポットを認める。このスポットは、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン試液を均等に噴霧するとき、黄だいだい色を呈する。 |
Drying loss | 15.5 %以下(6時間) |
Ash content | 6.0 %以下 |
Acid-insoluble ash | |
Pharmacopeia | 日局 16-p1484 |
Effect | 発汗、解熱、芳香性健胃、駆風、鎮静、鎮痙、末梢血管拡張、血圧降下、抗血栓、放射線障害防護、抗潰瘍、抗炎症、抗アレルギー、抗菌、水分代謝調節、消化吸収抑制 |
Constituent | ケイヒアルデヒド、ケイヒ酸、シンゼイラニン、シンゼイラノール、エピカテキン、シンナムタンニン cinnamicaldehyde, cinnamic acid, cinnzeylanin, cinnzeylanol, epicatechin, cinnamtannin |
Links |
References
- 【基原動植物から灰分等まで】第十六改正日本薬局方
- 【効能】矢作忠弘, 渥美聡孝, (以下8名)..., 牧野利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 2017
- 【成分】生薬単 (伊藤美千穂 北山隆 監修; 原島広至 著) NTS