当帰 (Angelicae Radix)
Angelica acutiloba Kitagawa 開花:日本
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Angelica acutiloba Kitagawa 結実:日本
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Angelica acutiloba Kitagawa :中国
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当帰はセリ科のトウキ Angelica acutiloba Kitagawa またはホッカイトウキ Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino の根を基原とする。生理機能を調整し、血虚症を治療し、気血を本来の状態に戻すなど婦人の要薬である。一説によると、病気の婦人がこれにより回復し、帰らぬ夫の帰宅を願ったことから当帰の名が付いた。
当帰は同名生薬でありながら、各国で使用する基原植物が異なり、日本ではトウキ A. acutiloba、中国ではカラトウキ A. sinensis Diels、韓国ではオニノタケ A. gigas Nakai を使用している。日局に記載されているトウキとはオオブカトウキ(大深当帰)を指す。オオブカトウキはミヤマトウキ A. acutiloba var. iwatensis Hikino の栽培化されたものといわれ、奈良県の大深地方で大々的に栽培されていたので、この名が付いた。しかし、現在は大深地方では栽培されておらず、そのため当社ではオオブカトウキの名を植物名、「大和当帰」の名を生薬名として扱っている。
以前はオオブカトウキ(トウキ) A. acutiloba Kitagawa だけが日局当帰とされていたが、日局第9改正(1976年)において『トウキ Angelica acutiloba Kitagawa またはその他近縁植物』と記載され、当時、局方外であったホッカイトウキ(北海当帰を日局当帰とした経緯がある。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
Picture
当帰
トウキ Japanese Angelica Root
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Species * ... non-plant
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- Angelica acutiloba Kitagawa
- Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino
トウキ, ホッカイトウキ シシウド属 当帰 Japanese Angelica Angelica 日本ではトウキ、ホッカイトウキ(Angelica acutiloba)を指すが、中国では、カラトウキ(Angelica sinensis Diels)を指す。
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Part(s) Used
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根
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Property
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本品は太くて短い主根から多数の根を分枝してほぼ紡錘形を呈し、長さ10~25cm、外面は暗褐色~赤褐色で縦じわ及び横長に隆起した多数の細根の跡がある。根頭にわずかに葉しょうを残している。折面は暗褐色~黄褐色を呈し平らである。
本品は特異なにおいがあり、味はわずかに甘く、後にやや辛い。本品の横切片を鏡検するとき、コルク層は4~10層からなり、その内側に数層の厚角組織がある。皮部には分泌細胞に囲まれた多数の油道及びしばしば大きなすき間がある皮部と木部の境界は明らかで、木部では多数の道管と放射組織とが交互に放射状に配列し、外方の道管は単独又は数個集まってやや密に配列してくさび状を呈し、中心部付近の道管は極めてまばらに存在する。でんぷん粒は単粒又はまれに2~5個の複粒で、単粒の径は20μm以下、複粒は25μmに達する。でんぷん粒はしばしば糊化している。
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Test
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-
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Drying loss
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Ash content
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7.0 %以下
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Acid-insoluble ash
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1.0 %以下
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Pharmacopeia
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日局 16-p1554
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Effect
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駆お血、強壮、鎮静、鎮痛
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Constituent
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リグスチリド、n-ブチルフタリド、サフロール、ベルガプテン、スコポレチン、パルミチン酸、リノール酸 ligustilide, n-butylphthalide, safrole, bergapten, scopoletin, palmitic acid, linoleic acid
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Links
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References
- 【基原動植物から灰分等まで】第十六改正日本薬局方
- 【効能】矢作忠弘, 渥美聡孝, (以下8名)..., 牧野利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 2017
- 【成分】生薬単 (伊藤美千穂 北山隆 監修; 原島広至 著) NTS
Prescriptions 処方一覧