Aritalab:Lecture/Biochem/Saccharide/Pentose

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5炭糖のアルドース

アルデヒド基を持つアルドースは不斉炭素を 3 つ持つので 8 つの異性体があります。天然に存在するのは主にD-ribose, D-xylose, L-arabinoseです。

参考文献
  • Zemek J, Folia Microbiol (Praha), 1975;20:467 PMID 285

D-ribose

Alpha-D-Ribose.png

α-D-ribose およそ100年前にDNAの構成要素として A,C,G,T の塩基とともに発見されました。DNAはデオキシリボ核酸の略で、そのリボとはリボースのことです。リボースはDNAの糖リン酸バックボーンを構成するだけでなく、プリンヌクレオチド(アデニン、グアニン)やATPの合成基点でもあります。遊離の形ではpyranose、リボ核酸の構成糖のときにはbeta-franoseの形で存在します。

L体は天然に存在しません。

参考文献

D-xylose

Alpha-D-Xylose.png

α-D-xylose 和名を木糖といい、植物に多いヘミセルロース(多糖類)の一種、キシランの構成成分です。植物ゴム、粘質多糖類の成分としても、植物界に広く分布します。Xylとはギリシャ語で木を意味し、木琴は英語でxylophoneといいます。工業的にはキシランを加水分解して得られます。この糖を酵素で異性化させたケトース版がキシルロース(xylulose)です。

L体は天然に存在しません。

参考文献

L-arabinose

Alpha-L-Arabinose 6.png

α-L-arabinose 植物ヘミセルロース(多糖類)の一種、アラビノキシランを分解して得られます。アラビアゴム等の植物ゴム、粘質多糖類、配糖体の成分です。ブドウやとうもろこしにも含まれます。

D体は希少糖でLiliaceae科(ユリ科)植物の配糖体、結核菌由来の多糖の成分です。

参考文献

D-lyxose

Alpha-L-Lyxose.png lyxoseはxyloseの名前をひっくり返してつけられました。L体は希少糖で、抗生物質Clamycinの成分です。D体は天然に存在しません。
参考文献


5炭糖のケトース

ケトースで有名なのはxyloseと対になるxylulose、そしてriboseと対になるribuloseです。

D-xylulose

Alpha-D-Xylulose.png

α-D-xylulose 白樺の樹液などに含まれるキシラン・ヘミセルロース(多糖類)の成分で、パルプを作成する際の廃液に多く入っています。ガムで有名なキシリトールは、このキシロースやキシルロース(英語ではそれぞれザイロース、ザイルロースと発音)を還元して得られるアルコールです。キシリトールの甘さは砂糖とほぼ同じ。主な産地は、キシリトールを虫歯予防に初めて応用した国、フィンランドです。

キシリトールがなぜ虫歯予防になるかというと、砂糖と同じ甘さを持つにもかかわらず、口腔内の酸性環境で増殖する菌 Streptococcus mutans がキシリトールの代謝経路を持たないからです。虫歯菌を積極的に減らすことはしませんが、増殖させない予防と考えればよいでしょう。

D,L体ともにペントース尿症の患者の尿中に存在することでも知られます。

参考文献
  • A Hiller, J Biol Chem, 1917;30:129] PDF
  • [Lane AB, Biochem Genet, 1985;23:61] PMID: 3994659
  • Mitsuhashi S, J Biol Chem, 1953;204:1011 PMID 13117877

D-ribulose

Alpha-D-Ribulose.png

α-D-ribulose 生化学の教科書では、グルコースの代謝(ペントースリン酸経路における ribulose 5-phosphate)や光合成 (ribulose-1,5-diphosphate; RuBP)で使われる糖です。

L体は天然に存在しないとされていますが、Escherichia coli(大腸菌)にL-Ribose-positive mutantが存在するとの報告もあります。

参考文献
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