Aritalab:Lecture/Biochem/Saccharide/Pentose
5単糖のアルドース
アルデヒド基を持つアルドースは不斉炭素を 3 つ持つので 8 つの異性体があります。天然に存在するのは主にD-ribose, D-xylose, L-arabinoseです。lyxoseはxyloseの名前をひっくり返してつけられました。
- D-ribose
- DNAの構成要素
alpha-D-riboseおよそ100年前にDNAの構成要素としてA,C,G,Tの塩基とともに発見されました。DNAはデオキシリボ核酸の略で、そのリボとはリボースのことです。リボースはDNAの糖リン酸バックボーンを構成するだけでなく、プリンヌクレオチド(アデニン、グアニン)やATPの合成基点でもあります。
- D-xylose
- キシリトールガムの原材料
alpha-D-xylose和名を木糖といい、植物に多いヘミセルロース(多糖類)の一種、キシランの構成成分です。Xylとはギリシャ語で木を意味し、木琴は英語でxylophoneといいます。工業的にはキシランを加水分解して得られます。この糖を酵素で異性化させたケトース版がキシルロース(xylulose)です。
- L-arabinose
alpha-L-arabinoseこれも植物ヘミセルロース(多糖類)の一種、アラビノキシランを分解して得られます。ブドウやとうもろこしにも含まれます。
5単糖のケトース
ケトースで有名なのはxyloseと対になるxylulose、そしてriboseと対になるribuloseです。
- D-xylulose
- パルプの廃液から作るキシリトール
alpha-D-xylulose白樺の樹液などに含まれるキシラン・ヘミセルロース(多糖類)の成分で、パルプを作成する際の廃液に多く入っています。ガムで有名なキシリトールは、このキシロースやキシルロース(英語ではそれぞれザイロース、ザイルロースと発音)を還元して得られるアルコールです。キシリトールの甘さは砂糖とほぼ同じ。主な産地は、キシリトールを虫歯予防に初めて応用した国、フィンランドです。
キシリトールがなぜ虫歯予防になるかというと、砂糖と同じ甘さを持つにもかかわらず、口腔内の酸性環境で増殖する菌Streptococcus mutansがキシリトールの代謝経路を持たないからです。虫歯菌を積極的に減らすことはしませんが、増殖させない予防と考えればよいでしょう。
- D-ribulose
- 光合成に重要な糖
alpha-D-ribulose生化学の教科書では、グルコースの代謝(ペントースリン酸経路)や光合成で使われる糖です。