Doc:Radiation/Pregnancy
From Metabolomics.JP
以下は(ICRP)の勧告84の要約です。
Contents |
放射線に関する注意
- このページで記述する放射線量は、胎児が受ける線量であり、母体が受ける線量ではありません。
- CTスキャンでは子宮のスキャンに限り、胎児が 10-40 mGy の放射線を浴びます。
- バリウム注腸検査の場合、上手にやれば胎児は 3-7 mGy の被曝ですみます。二重造影バリウム注腸の場合は、単一コントラストの2倍の放射線を浴びます。特に蛍光透視法(フルオロスコピ- fluoroscopy)の観察時間を把握することは重要です。胎児が 50 mGy の影響を受ける域に近い7分間を超えないようにします。
- イギリスの一般的医療検査における胎児の被曝量 (Sharp, Shrimpton, Buiy 1998より)
検査 | 平均 (mGy) | 最大 (mGy) |
---|---|---|
通常のx線 | ||
腹 | 1.4 | 4.2 |
胸 | < 0.01 | < 0.01 |
静脈尿管造影 | 1.7 | 10 |
腰椎 | 1.7 | 10 |
骨盤 | 1.1 | 4 |
頭蓋 | < 0.01 | < 0.01 |
胸椎 | < 0.01 | < 0.01 |
蛍光検査 | ||
バリウム食 (UGI) | 1.1 | 5.8 |
バリウム注腸 | 6.8 | 24 |
CTスキャン | ||
腹 | 8.0 | 49 |
胸 | 0.06 | 0.96 |
頭 | < 0.005 | < 0.005 |
腰椎 | 2.4 | 8.6 |
骨盤 | 25 | 79 |
結論
- 胎児の被曝量が 100 mGy 以下の場合は、放射線の影響は認められません
- 胎児の被曝量が 100 mGy 以下の場合に、妊娠中絶などを検討すべきではありません
- 妊娠前の被曝はその後生まれてくる胎児に影響しません
妊娠前から初期
妊娠前
両親が放射線を浴びたことにより、その後妊娠した子供に影響が出た例はありません。 ただし、予防的な措置として、500 mGy 以上の照射を受けた場合は、妊娠を少なくとも2ヶ月待つべきと考える研究者もいます。
8週目までにおける放射線の影響
妊娠初期から数週間以内にの放射線を受けた場合でも、奇形などはほぼ起こりません。 主要臓器が形成される3-8週よりも影響が大きいのが、中央神経系が形成される8-25週内です。
8-25週目における放射線の影響
知的障碍
知的障碍とされるのはIQが70以下の場合で、自然に出生する子供の3%が該当します。また、自分の世話ができない重篤な知的障碍児も自然に0.5%出生します。
- 知られている放射線の影響
- 100 mGy (ミリグレイ) 未満: 広島、長崎の被爆者データによると、週齢に関係なく、放射線の影響による知的障碍は発見できない(自然に発生するものと区別できない)
- 100 mGy 以上: 中央神経系 (Central Nervous System) に障碍が出る可能性がある
- 500 mGy: IQが大きく低下する現象が見られるのは 500 mGy 以上の被爆のみ
- 1000 mGy: IQが30ポイント低下。8-15週目の場合、自分の世話もできない知的障碍を引き起こす確率が 40% 。16週目以降で被曝した場合、その確率は低下する。
白血病、小児がん
0-15歳において、自然に小児がん、白血病になる確率が0.2-0.3%あります。
- 知られている放射線の影響
- 10 mGy: 相対的なリスクが1.4になる、つまり小児がん、白血病になる確率が0.28-0.42%になるという報告があります
- 1000 mGy: 絶対リスクの推定によると 6% が小児がん、白血病になります。放射線量とガンのリスクが比例すると考えると、100 mGy 浴びたときのリスクは0.6%で、自然に発症する率の2倍になります。