Aritalab:Lecture/Programming/Cpp
m |
m (→メモリ管理) |
||
Line 63: | Line 63: | ||
==メモリ管理== | ==メモリ管理== | ||
===コンストラクタとデストラクタ=== | ===コンストラクタとデストラクタ=== | ||
− | + | C++のクラス定義では、例えば以下のような記述をします。 | |
<pre> | <pre> | ||
class list_node; | class list_node; | ||
Line 101: | Line 101: | ||
基本データ型のnew/deleteは、基本的にmalloc/freeと同じですが、void*しか返さないmallocに比較して型キャストの必要がありません。 | 基本データ型のnew/deleteは、基本的にmalloc/freeと同じですが、void*しか返さないmallocに比較して型キャストの必要がありません。 | ||
− | + | ですから、C++らしいプログラムを心がけるには、常にnew/deleteを使うと良いでしょう。 | |
; 働きの全く同じ二つの例 | ; 働きの全く同じ二つの例 | ||
Line 113: | Line 113: | ||
===Garbage Collection=== | ===Garbage Collection=== | ||
− | Javaとの最大の違いは、メモリ管理を自分で行う点です。これは単に「遅れている」という訳ではなく、実時間プログラミングのようなGarbage collector(GC) | + | Javaとの最大の違いは、メモリ管理を自分で行う点です。これは単に「遅れている」という訳ではなく、実時間プログラミングのようなGarbage collector(GC)が致命的となる場合でも用いられる「汎用性」と捉えましょう。メモリ管理を放棄したい人は、C++で非常に有名な[http://www.hpl.hp.com/personal/Hans_Boehm/gc/ Boehm GC]を使いましょう。 |
− | + |
Revision as of 15:04, 7 October 2010
Wiki Top | Up one level | レポートの書き方 | Arita Laboratory |
|
C++プログラミング
C++はC言語の完全な上位互換ですが、オブジェクト指向型という点でC言語とは全く違うプログラミング思想に基づいています。 簡単に言うと、JavaのようなプログラムをCで書く為に作られたと言ってよいと思います。
マクロの利用
C言語同様、マクロ
ヘッダーファイル
利用する関数の型情報は.hや.hhという拡張子を持つヘッダーファイルに記述し、それをプログラムの先頭で読み込みます。一番有名なヘッダーはstdio.hと<iostream>でしょう。
#include <stdio.h>
iostreamも以前は拡張子(.h)を付けてインクルードしていたのですが、標準化の際に付けないことが決まりました。なので以下のように書いてください。
#include <iostream> using namespace std;
二行目のusing以下は、iostreamで定義される標準入出力 std::cin, std::cout を、std::というネームスペース名無しで利用するために記述します。
ヘッダーファイルはクラスを定義するソースプログラム毎に用意します。ディレクトリ内に.cや.cpp等のファイルと混在してくると面倒です。例えばinclというディレクトリを作り、その中にヘッダーを集めておくと便利でしょう。(コンパイル方法は後述。)
各ヘッダーファイルは、プログラム中で複数回読み込むとエラーになります。ヘッダーファイルの先頭に
#ifndef LIST_HH #define LIST_HH #include "iterator.hh" : #endif
のように、ifndefのおまじないを入れておきましょう。
コンパイルの仕方
統合環境を使わない場合は、Makefileを作りましょう。Makeではタブが意味を持つので注意します。下の例では、ヘッダーをinclディレクトリに記述する場合です。(タブが重要なので、下の内容を単にcopy&pasteしても動きません。)
- 簡単な Make ファイル
CXX = g++ -pg -ansi -g -Wall -Iincl DIRS = src SRCS = $(wildcard *.cc) OBJS = $(wildcard *.o) all clean: rm -f main main: $(SRCS) $(OBJS) $(CXX) S(OBJS) -pg -o main
これを用意しておくと、make main や make cleanと打つだけでコンパイルや片づけができます。
クラス定義
class class名 { private: // 外からアクセスできない変数やメンバー関数 public: // 外からアクセス可能な変数やメンバー関数 };
と定義します。C言語における構造体との主な違いはアクセス制限です。 クラス定義の中では、自分自身をthisポインタで参照することができます。
メモリ管理
コンストラクタとデストラクタ
C++のクラス定義では、例えば以下のような記述をします。
class list_node; typedef list_node* lnode; class list_node { private: list_node(const list_node&); list_node& operator=(const list_node&); public: void* key; lnode list_pred; lnode list_succ; list_node(GenPtr x=0x0) : key(x), list_pred(0), list_succ(0) {} ~list_node() {} };
この中でlist_node(GenPtr x=0x0)とあるのがコンストラクタ、~list_node()がデストラクタで、それぞれクラスのインスタンス生成、消去時に呼び出されます。コンストラクタ内ではクラス変数の初期化、デストラクタ内では必要なくなったポインタのnull化などをしておくと良いでしょう。(後者は無駄に思えるかもしれませんが、バグをなくすのに役立ちます。)
コピーコンストラクタと演算子のオーバーロード
上の例でprivate指定でアクセス制限されているのが、コピーコンストラクタlist_node(const list_node&)と演算子=の定義list_node& operator=(const list_node&)になります。 コピーコンストラクタは、
list_node x = 既に定義されているlist_nodeクラス;
と=をつけて初期化する場合と、関数にクラスを(参照渡しではなく)値渡しするときに実行されます。 また、演算子=のほうは、
list_node x,y; x = y = 既に定義されているlist_nodeクラス;
と書かれたときに実行されます。上の例では、list_nodeクラスがユーザに無闇にコピーされることを防ぐためにprivate指定にしています。
new と delete
Cにおけるmalloc/freeと、new/deleteは同じではありません。 クラスのnew/deleteでは、コンストラクタとデストラクタが呼ばれることに注意しましょう。 基本データ型のnew/deleteは、基本的にmalloc/freeと同じですが、void*しか返さないmallocに比較して型キャストの必要がありません。
ですから、C++らしいプログラムを心がけるには、常にnew/deleteを使うと良いでしょう。
- 働きの全く同じ二つの例
char** cArray = new char*[10]; delete[] cArray; char** cArray2 = (char**) malloc(sizeof(char)*10); free(cArray2);
Garbage Collection
Javaとの最大の違いは、メモリ管理を自分で行う点です。これは単に「遅れている」という訳ではなく、実時間プログラミングのようなGarbage collector(GC)が致命的となる場合でも用いられる「汎用性」と捉えましょう。メモリ管理を放棄したい人は、C++で非常に有名なBoehm GCを使いましょう。