Pharm:EKAT920001
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Evidence Reports of Kampo Treatment 2010
Task Force for Evidence Reports / Clinical Practice Guideline Special Committee for EBM, the Japan Society for Oriental Medicine
感染症 (ウイルス性肝炎を含む)
- Reference
- 渡辺東, 長谷川鎮雄. 肺結核の補助療法としての漢方薬併用効果. 日本医事新報 1992; (3553) : 76-7.
- Objectives
- 肺結核化学療法施行中の患者に対する補中益気湯と小柴胡湯の食欲増進、生体防御能向上効果
- Design
- ランダム化比較試験 (RCT)
- Setting
- 病院 1施設
- Participants
- 1987年1月-1991年12月までの5年間の入院患者
結核菌排菌陽性で、リファンピシン、イソニアジド、ストレプトマイシンを中心にした化学療法を受けた患者 101名
- Intervention
- Arm 1: 化学療法単独 40名
- Arm 2: 化学療法+ツムラ補中益気湯エキス顆粒 31名
- Arm 3: 化学療法+ツムラ補中益気湯エキス顆粒+ツムラ小柴胡湯エキス顆粒 30名
- Major outcome measures
- 体重、喀痰中排菌数 (喀痰塗抹のガフキー号数) 、血沈、末梢血リンパ球数
- Main results
- 入院後の体重増加は3群とも試験開始2ヶ月以降にみられ、体重増加量は3ヶ月目でArm 3がArm 1に対し有意に増加し、5ヶ月でArm 2, Arm 3がArm 1に対し有意に増加した。5ヶ月目でArm 1で3.2kg、Arm 2で4.7Kg、Arm 3で5.3Kg増加した。末梢血リンパ球数は3群とも治療経過により増加したが有意差はなかった。入院時末梢血リンパ球数が減少していた症例では、Arm 2, Arm 3はArm 1に比し著明に体重増加が見られた。また、60才以上の高齢者 (計45名) の漢方併用時の体重増加は若年者を含めた漢方併用群の体重増加より著明であった。
- Conclusions
- 漢方薬併用群の血沈、喀痰中排菌数に対する効果は明らかではないが、体重の有意な増加と末梢血リンパ球数の有意な増加を認め、抗結核療法の補助療法として有用であると推測される。
- From Kampo medicine perspective
- なし
- Safety assessment in the article
- Arm 1で肝障害2名あり治療中止,Arm 2,Arm 3で軽度の肝障害があったが、治療は継続された。使用漢方薬に肝障害抑制作用の可能性が示された。
- Abstractor's comments
- この比較試験がおこなわれた当時は、排菌患者は入院治療が多数であった。最近は結核患者数が減少し、早期発見により軽症の結核患者が主体であるが、まだまだ長期入院が必要な重症患者も存在する。患者の生活背景、重症度が明確になれば、現在でも有用な論文であると思われる。また戦前は結核には小柴胡湯などが治療薬であったと聞いている。「渡辺東, 高橋伸禎, 内田義之, ほか. 肺結核の補助療法としての補中益気湯. JAMA (日本語版) 1992; 13 (6) suppl: 20-1.」は同時期に報告されているが、本論文のArm 1とArm 2を示し補中益気湯の効果を強調する論文である。
- Abstractor and date
- 藤澤 道夫 2009.3.31, 2010.6.1