Tochimoto:Pinelliae Tuber

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半  夏

『日本薬局方 15改正(JP15)』 半夏:PINELLIAE TUBER  カラスビシャク Pinellia ternata Breitenbach (Araceae) のコルク層を除いた塊茎と規定されている。

『中華人民共和国薬典2005年版』 半夏:RHIZOMA PINELLIAE  半夏 Pinellia ternata (Thunb.) Breit. の乾燥した塊茎と規定されている。

『大韓薬典 第9改正』 반하 半夏:PINELLIAE TUBER  반하 Pinellia ternata Breitenbachの塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。

市場流通品と現状

戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。

調剤用の半夏は伝統的に○切り加工される。これは原形の規格がわかることと、表面積を大きくし抽出効率を増やすためである。

生産加工状況

半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。

*輸出用選別  輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。


選別後の規格外の半夏

*中国の半夏栽培 半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。

理化学的品質評価

TableⅠ 産地別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)

対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む)         Mean±SD(%)

○ 灰分 : 貴州 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ).  ○ 希エタノールエキス含量 : 貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ). 

TableⅡ 等級別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)

対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む)         Mean±SD(%)

○ 灰分 : 珍珠 > 丙級, 乙級, 甲級 ( p < 0.05 ). ○ 希エタノールエキス含量 : 珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し. 

内部形態:鏡検

生薬の性状 JP15

本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。

本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。

本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。

●各種比較  ○半夏 甲級 <中国甘粛省> ○天南星 ・横切面(大きな油道が認められる) ・横切面(油道は認められるが小さい) ・束針晶 ・集晶 <半夏と天南星の比較> ・シュウ酸カルシウムの束針晶は、半夏、天南星ともに認められるが、集晶は、天南星には認められ、半夏には認められない。なお、中国で天南星として用いられる Arisaema 属植物の塊茎で、集晶が認められないものもある。 ・横切面において、天南星には油道が認められることが多いが、半夏には認められない。

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