Doc:Radiation/Agriculture
From Metabolomics.JP
農作物の移行係数
農業に携わる人にとって、いまから何を作付けするかは重要な決断です。 4月12日に稲の作付制限基準が 5000 Bq(ベクレル) / kg土壌 となりましたが、この値がどうやって決まったのでしょう。また、他の野菜等に関してはどうなのでしょう。少しまとめてみました。
- まとめ
- セシウムの移行係数とは、農作物中のセシウム濃度 ÷ 土壌中のセシウム濃度
- 農水省による稲の作付制限である 5000 Bq / kg土壌 という値は、野菜の規制値 500 Bq / kg と稲の移行係数 0.1 から逆算
- 稲の移行係数 0.1 は玄米における見積 (白米の場合はもっと低い)
農作物中に蓄積される元素の濃度と、土壌に含まれる同じ元素の濃度比を移行係数 (transfer factor) といい、とりわけ核実験により大気中から降下する放射性元素について多くの研究がなされてきました。
移行係数の値は、同じ元素であっても土壌や農作物、測定条件によって大きく異なります。
また農作物の重量が、乾物の場合と生の場合があるので気をつけなくてはなりません。
以下にいくつかの文献からあつめた移行係数を掲載します。
- 日本土壌肥料学会のホームページで解説されるセシウムの移行係数
- 財団法人原子力環境整備センター RWMC-88-P-11 「土壌から農作物への放射性物質の移行係数」 1988年 PDF全文
- 安全研究センター 原子力エネルギー関連施設安全評価研究ユニット 「生物圏評価のための土壌から農作物への移行係数に関するデータベース」 2009年 PDF全文
放射線医学研究所の内田らが平成14-18年度にかけて日本全国の土壌、農作物を対象として算出した移行係数と、2009年に安全評価研究ユニットがIAEAなど国際機関が発表するデータもあわせて総合的に判断したデータ(果実は放医研のデータ無し)