Tochimoto:Rehmanniae Radix

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地  黄 REHMANNIAE RADIX

地黄はゴマノハグサ科のアカヤジオウ Rehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makino または カイケイジオウRehmannia glutinosa Liboschitz の根を基原とする。調製方法により呼び名が異なり、それぞれ薬性・薬効が異なるとされており、また日本と中国では表記に違いもある。新鮮な根を水洗したものは日本では「生地黄(ナマジオウ)」、中国では「鮮地黄」、そのまま乾燥したものは日本では「乾地黄」、中国では修治していないとの意味で「生地黄(ショウジオウ)」または「生地(セイジ)」、蒸したものは日本・中国ともに「熟地黄(ジュクジオウ)」または「熟地(ジュクチ)」と呼ばれる。以前の市場流通品は中国産の主に河南省旧懐慶府に産するものであったが、現在は山西省の産出量が一番多い。北海道でも生地黄(ナマジオウ)の生産が行われており基原はカイケイジオウである。

『日本薬局方 第15改正(JP15)』 地黄:REHMANNIAE RADIX  アカヤジオウ Rehmannia glutinosa Liboschitz var.

purpurea Makinoまたは Rehmannia glutinosa Liboschitz 

(Scrophulariaceae)の根またはそれを蒸したものと規定されている。

『中華人民共和国薬典 2005年版』 ・地黄:RADIX REHMANNIAE  地黄Rehmannia glutinosa Libosch.の新鮮あるいは干燥した塊根 ・熟地黄:RADIX REHMANNIAE PRAEPARATA  生地黄(乾地黄)の炮製加工品 以上2種が規定されている。

『大韓薬典 第9改正』 ・지황 地黄:REHMANNIAE RADIX  지황 Rehmannia glutinosa Liboschitz ex Steudelの根 ・숙지황 熟地黄: REHMANNIAE RADIX PREPARATA  지황 Rehmannia glutinosa Liboschitz ex Steudelの根の炮製加工品 以上2種が規定されている。

『大韓薬典外生薬規格集2007年』 생지황 生地黄:REHMANNIAE RADIX CRUDUS  생지(生地)、선지황(鮮地黄) 지황 Rehmannia glutinosa Liboschitz var. purpurea Makinoの新鮮な根と規定されている。  日本薬局方には乾地黄と熟地黄が収載され、新鮮な地黄は収載されていないが、中国、韓国では新鮮な地黄は一般的薬材で、中華人民共和国薬典、大韓薬典外生薬規格集に収載されている。






【市場流通品と現状】 Ⅰ.乾地黄  以前は細長い韓国産地黄(アカヤジオウ)も流通していたが中国産が豊富に供給されるようになり、市場は中国産が占めるようになった。中国産の乾地黄(生地)には、形態を丸く整形した丸手の「圓」と整形していない長手の「長」の規格がある。太さで等級分けされ、「生地(1~3級)」、「小生地」、「節生地」の商品規格があるが日本市場は比較的安価な小生地が主流である。

 以前は河南省旧懐慶府の温県、孟県などで主に栽培されていたが、現在は主に山西省で栽培されている。両者の産地の違いによる品質に差異はない。新鮮な根の外皮は淡黄色で内部は白色であるが、乾燥工程で茶褐色~黒褐色に変色する。  外皮は濃い茶黒色で、太く肥大して、内部色が濃い茶褐色のものを経験的に良品としている。







 通常の乾燥工程では成分のカタルポールが急激に減少するため、乾燥方法を工夫した生干地黄(キボシジオウ)も一部流通する。生干地黄の内部の色調は茶褐色を呈している。








Ⅱ.熟地黄  熟地黄には蒸気で蒸す「蒸熟地黄」と、紹興酒などの醸造酒を加えて蒸す「酒熟地黄」がある。また、酒熟地黄には蒸しと乾燥を9回繰り返して製造する九燻九晒(クジョウクバク)の熟地黄がある。九燻九晒は光沢があり、熟地黄では最上級品とされ、韓国ではこの九燻九晒熟地黄が主流となっている。  中国産の熟地黄(熟地)は、太さで等級分けされ「熟地(1~3級)」の商品規格がある。






 熟地黄は粘性が強いため、他の調剤用生薬と混合しやすいように強めに乾燥させた「ドライ・刻」という規格がある。






【生産加工状況】 中国山西省運城  前年度に収穫し、土中に保管していた鮮地黄を春先に取り出し、植えつける。  古くは種子からの栽培が行われたこともあるが、現在は全て種芋からの栽培をしている。

*乾地黄の加工調製








*熟地黄の加工調製



*韓国栽培地(アカヤジオウ)   錦山地区:植物の生育を促進させるために、畝の土をポリエチレンフィルムなどで覆うマルチ栽培を行っている。










* 北海道栽培地 (カイケイジオウ)    ビニールハウス栽培を行っている。

【理化学品質評価】

Table 産地&規格別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)


産地 規格 検体数 灰分 6.0%以下 酸不溶性灰分 2.5%以下 乾燥減量 希エタノール エキス含量 中国ALL 乾 89 3.7±0.9 0.7±0.5 13.3±3.9 75.4±4.9 中国ALL 熟 74 3.9±0.8 0.8±0.4 15.8±5.6 73.3±4.8 中国ALL 生干 10 3.6±0.5 0.7±0.4 12.8±3.3 78.0±2.9

韓国ALL 熟 12 3.8±0.4 1.0±0.3 22.8±7.1 62.4±6.4 中国・河南 乾 20 3.6±0.8 0.8±0.4 15.1±4.0 72.0±5.0 中国・山西 乾 38 3.5±0.6 0.5±0.3 11.0±3.3 79.1±2.1 中国・河南 熟 16 3.6±0.9 0.6±0.4 14.3±7.4 74.6±5.4 中国・山西 熟 21 3.6±0.5 0.6±0.2 13.4±5.3 76.7±2.4 対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む)      Mean±SD(%)

○ 灰分 : 全てにおいて有意差無し ○ 乾燥減量 : 韓国ALL熟 > 中国ALL熟 > 中国ALL乾, 中国ALL生干 ( p < 0.05 ) ○ 希エタノールエキス含量 : 中国ALL生干 > 中国ALL乾 > 中国ALL熟 > 韓国ALL熟 ( p < 0.05 ) 中国の産地による比較  乾地黄 : 山西 > 河南 ( p < 0.05 )             熟地黄 : 山西と河南で有意差無し

中国産 規格別 catalpol含量の比較


  ○ (生干)地黄 > (乾)地黄 > (熟)地黄, ドライ(熟)地黄 ( p < 0.05 )

Topic   TLCによる成分組成の比較


【内部形態:鏡検】 <生薬の性状> JP15  本品は、通例、細長い紡錘形を呈し、長さ5~10cm、径0.5~1.5cm、しばしば折れ、又は著しく変形している。外面は黄褐色又は黒褐色を呈し、深い縦みぞ及びくびれがある。質は柔らかく粘性である。横切面は黄褐色又は黒褐色で、皮部は木部より色が濃く、髄をほとんど認めない。  本品は特異なにおいがあり、味は初めわずかに甘く、後にやや苦い。

 本品の横切片を鏡検するとき、コルク層は7~15層で、皮部はすべて柔細胞からなり、外皮部に褐色の分泌物を含む細胞が散在する。木部はほとんど柔組織からなり、道管は放射状に配列し、主として網紋道管である。

●内部形態の比較 ○乾地黄 <中国河南省>  ・根の横切面             ・左図と同一個体           ・同左(細い部分)


                      道管はいずれも放射状に配列している。

<熟地黄について>  組織の崩れている程度は、河南産の方が大きく、河南産は通常の観察では道管が判りにくい。

 ○熟地黄 <韓国>         <偏光下観察>         ○熟地黄 <中国河南省>

                                   <偏光下観察>

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