Tochimoto:Pinelliae Tuber
Line 30: | Line 30: | ||
==理化学的品質評価== | ==理化学的品質評価== | ||
− | + | {| class="wikitable sortable" | |
− | 産地 検体数 灰分 | + | |+ 産地別理化学試験 DATA<br/><small>対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)</small> |
− | 3.5%以下 酸不溶性灰分 乾燥減量 | + | |- |
− | 14.0%以下 希エタノール | + | ! 産地 || 検体数 || 灰分<br/>3.5%以下 || 酸不溶性灰分 || 乾燥減量<br/>14.0%以下 || 希エタノール<br/>エキス含量 |
− | エキス含量 | + | |- |
− | 中国ALL 296 2.2±0.4 0.12±0.06 11.6±2.4 4.0±1.4 | + | | 中国ALL || 296 2.2±0.4 || 0.12±0.06 || 11.6±2.4 || 4.0±1.4 |
− | 四川 80 2.2±0.5 0.11±0.03 11.4±2.8 3.6±1.6 | + | |- |
− | 甘粛 60 2.1±0.4 0.11±0.02 10.8±2.6 3.6±1.4 | + | | 四川 || 80 || 2.2±0.5 || 0.11±0.03 || 11.4±2.8 || 3.6±1.6 |
− | 貴州 44 2.4±0.3 0.14±0.10 12.8±1.7 4.8±0.9 | + | |- |
− | 雲南 24 2.3±0.3 0.16±0.13 11.8±1.2 4.3±0.9 | + | | 甘粛 || 60 || 2.1±0.4 || 0.11±0.02 || 10.8±2.6 || 3.6±1.4 |
+ | |- | ||
+ | | 貴州 || 44 || 2.4±0.3 || 0.14±0.10 || 12.8±1.7 || 4.8±0.9 | ||
+ | |- | ||
+ | | 雲南 || 24 || 2.3±0.3 || 0.16±0.13 || 11.8±1.2 || 4.3±0.9 | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | ;灰分 | ||
+ | :貴州 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ). | ||
+ | ;希エタノールエキス含量 | ||
+ | :貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ). | ||
− | + | {| class="wikitable sortable" | |
+ | |+ 等級別理化学試験 DATA<br/><small>対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)</small> | ||
+ | |- | ||
+ | ! 等級 || 検体数 || 灰分<br/>3.5%以下 || 酸不溶性灰分 || 乾燥減量<br/>14.0%以下 | ||
+ | || 希エタノール<br/>エキス含量 | ||
+ | |- | ||
+ | | 甲級 || 34 || 2.0 ±0.3 || 0.11 ±0.04 || 11.9 ±2.3 || 3.9 ±1.7 | ||
+ | |- | ||
+ | | 乙級 || 71 || 2.1 ±0.3 || 0.11 ±0.05 || 11.7 ±2.4 || 4.2 ±1.5 | ||
+ | |- | ||
+ | | 丙級 || 91 || 2.1 ±0.4 || 0.11 ±0.02 || 11.3 ±2.6 || 3.9 ±1.6 | ||
+ | |- | ||
+ | | 珍珠 || 70 || 2.4 ±0.4 || 0.13 ±0.10 || 12.5 ±1.6 || 4.5 ±1.0 | ||
+ | |} | ||
− | + | ;灰分 | |
− | + | :珍珠 > 丙級, 乙級, 甲級 ( p < 0.05 ). | |
− | + | ;希エタノールエキス含量 | |
− | + | :珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し. | |
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
− | + | ||
==内部形態:鏡検== | ==内部形態:鏡検== |
Revision as of 21:53, 3 November 2010
Contents |
半 夏
『日本薬局方 15改正(JP15)』
- 半夏:PINELLIAE TUBER
- カラスビシャク Pinellia ternata Breitenbach (Araceae) のコルク層を除いた塊茎と規定されている。
『中華人民共和国薬典2005年版』 半夏:RHIZOMA PINELLIAE
- 半夏 Pinellia ternata (Thunb.) Breit. の乾燥した塊茎と規定されている。
- {{{3}}}
『大韓薬典 第9改正』
- 반하 半夏:PINELLIAE TUBER
- 반하 Pinellia ternata Breitenbachの塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。
市場流通品と現状
戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。
調剤用の半夏は伝統的に○切り加工される。これは原形の規格がわかることと、表面積を大きくし抽出効率を増やすためである。
生産加工状況
半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。
輸出用選別
輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。
選別後の規格外の半夏
中国の半夏栽培
半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。
理化学的品質評価
産地 | 検体数 | 灰分 3.5%以下 |
酸不溶性灰分 | 乾燥減量 14.0%以下 |
希エタノール エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
中国ALL | 296 2.2±0.4 | 0.12±0.06 | 11.6±2.4 | 4.0±1.4 | |
四川 | 80 | 2.2±0.5 | 0.11±0.03 | 11.4±2.8 | 3.6±1.6 |
甘粛 | 60 | 2.1±0.4 | 0.11±0.02 | 10.8±2.6 | 3.6±1.4 |
貴州 | 44 | 2.4±0.3 | 0.14±0.10 | 12.8±1.7 | 4.8±0.9 |
雲南 | 24 | 2.3±0.3 | 0.16±0.13 | 11.8±1.2 | 4.3±0.9 |
- 灰分
- 貴州 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ).
- 希エタノールエキス含量
- 貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ).
等級 | 検体数 | 灰分 3.5%以下 |
酸不溶性灰分 | 乾燥減量 14.0%以下 |
希エタノール エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
甲級 | 34 | 2.0 ±0.3 | 0.11 ±0.04 | 11.9 ±2.3 | 3.9 ±1.7 |
乙級 | 71 | 2.1 ±0.3 | 0.11 ±0.05 | 11.7 ±2.4 | 4.2 ±1.5 |
丙級 | 91 | 2.1 ±0.4 | 0.11 ±0.02 | 11.3 ±2.6 | 3.9 ±1.6 |
珍珠 | 70 | 2.4 ±0.4 | 0.13 ±0.10 | 12.5 ±1.6 | 4.5 ±1.0 |
- 灰分
- 珍珠 > 丙級, 乙級, 甲級 ( p < 0.05 ).
- 希エタノールエキス含量
- 珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し.
内部形態:鏡検
- 生薬の性状 JP15
本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。
本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。
本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。
各種比較
○半夏 甲級 <中国甘粛省> ○天南星 ・横切面(大きな油道が認められる) ・横切面(油道は認められるが小さい) ・束針晶 ・集晶 <半夏と天南星の比較> ・シュウ酸カルシウムの束針晶は、半夏、天南星ともに認められるが、集晶は、天南星には認められ、半夏には認められない。なお、中国で天南星として用いられる Arisaema 属植物の塊茎で、集晶が認められないものもある。 ・横切面において、天南星には油道が認められることが多いが、半夏には認められない。