Aritalab:Lecture/Biochem/Saccharide/Hexose
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| L-rhamnoseは[[Species:Rhamnus|Rhamnus]]属(クロウメモドキ属)の植物Sea Buckthornから単離されました。Rhamnosideの形で、多糖、配糖体、植物ゴムの成分として、植物に普遍的に存在します。D体は希少糖で、抗酸菌糖脂質Glycopeptidolipid (GPL) に含まれます。 | | L-rhamnoseは[[Species:Rhamnus|Rhamnus]]属(クロウメモドキ属)の植物Sea Buckthornから単離されました。Rhamnosideの形で、多糖、配糖体、植物ゴムの成分として、植物に普遍的に存在します。D体は希少糖で、抗酸菌糖脂質Glycopeptidolipid (GPL) に含まれます。 | ||
| Rasputina DB, Chemistry of Natural Compounds, 1975;11:105 DOI: 10.1007/BF00567049<br/>Wilson DM, Biochim Biophys Acta, 1955;17:289 PMID 13239680<br/>Nishikawa K, Kekkaku, 1998;73:295 PMID: 9613050<br/>Ramm M, Carbohydr Res, 2003;338:109 PMID 12504387 | | Rasputina DB, Chemistry of Natural Compounds, 1975;11:105 DOI: 10.1007/BF00567049<br/>Wilson DM, Biochim Biophys Acta, 1955;17:289 PMID 13239680<br/>Nishikawa K, Kekkaku, 1998;73:295 PMID: 9613050<br/>Ramm M, Carbohydr Res, 2003;338:109 PMID 12504387 | ||
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| L-fucoseは海藻に含まれるFucoidan(フコイダン)等の粘質多糖類をはじめ、ミルクオリゴ糖、糖タンパク、糖脂質の成分。動植物に普遍的に存在します。D体は希少糖でDigitalis(ジギタリス)配糖体の成分に含まれます。 | | L-fucoseは海藻に含まれるFucoidan(フコイダン)等の粘質多糖類をはじめ、ミルクオリゴ糖、糖タンパク、糖脂質の成分。動植物に普遍的に存在します。D体は希少糖でDigitalis(ジギタリス)配糖体の成分に含まれます。 | ||
| James SP, J Chem Soc, 1945;Nov:746 PMID 13319278<br/>James SP, J Chem Soc, 1945;:746 PMID 21008345<br/>Springer GF, Biochem J, 1962;85:282 PMID 13978547 | | James SP, J Chem Soc, 1945;Nov:746 PMID 13319278<br/>James SP, J Chem Soc, 1945;:746 PMID 21008345<br/>Springer GF, Biochem J, 1962;85:282 PMID 13978547 | ||
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| Quina(キナ)の樹皮に含まれる配糖体Quinovinの成分です。Sulfateの形で植物に普遍的に存在します。 | | Quina(キナ)の樹皮に含まれる配糖体Quinovinの成分です。Sulfateの形で植物に普遍的に存在します。 | ||
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| Michaljanicova D, Folia Microbiol, 1981;26:89 PMID 7262717<br/>Sonesson A, Microbiology, 1994;140:2663 PMID 8000537 | | Michaljanicova D, Folia Microbiol, 1981;26:89 PMID 7262717<br/>Sonesson A, Microbiology, 1994;140:2663 PMID 8000537 | ||
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* Leang K, J Biosci Bioeng, 2003;95:310 PMID 16233412 | * Leang K, J Biosci Bioeng, 2003;95:310 PMID 16233412 | ||
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ソルボースのアルデヒドを還元してアルコールにしたものがソルビトール(sorbitol)です。これはグルコースを高圧で触媒により還元させて作ります。ドイツ語ではソルビット(solbit)、日本での年間消費量が10万トンを超える有名な糖アルコールです。甘さはショ糖を1として0.6程度。甘味料のほか保湿剤としても使われます。主に、コンビニのおにぎり、歯磨き粉の原材料として利用されています。 | ソルボースのアルデヒドを還元してアルコールにしたものがソルビトール(sorbitol)です。これはグルコースを高圧で触媒により還元させて作ります。ドイツ語ではソルビット(solbit)、日本での年間消費量が10万トンを超える有名な糖アルコールです。甘さはショ糖を1として0.6程度。甘味料のほか保湿剤としても使われます。主に、コンビニのおにぎり、歯磨き粉の原材料として利用されています。 | ||
D体は希少糖でD-Tagatoseから合成できます。 | D体は希少糖でD-Tagatoseから合成できます。 | ||
| Burns JJ, J Biol Chem, 1955;214:507 PMID 14381387<br/>Hyatt MT, J Bacteriol, 1964;88:1403 PMID 14234800<br/>Bhuiyan SH, J Biosci Bioeng, 1999;88:567 PMID 16232663 | | Burns JJ, J Biol Chem, 1955;214:507 PMID 14381387<br/>Hyatt MT, J Bacteriol, 1964;88:1403 PMID 14234800<br/>Bhuiyan SH, J Biosci Bioeng, 1999;88:567 PMID 16232663 | ||
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− | | tagatose || D体は希少糖で[[:Category:Sterculiaceae|Sterculiaceae]]科(アオギリ科)植物の植物ゴムの成分です。 | + | | D-tagatose [[File:Alpha-D-Tagatose_6.png|80px]] || D体は希少糖で[[:Category:Sterculiaceae|Sterculiaceae]]科(アオギリ科)植物の植物ゴムの成分です。 |
ショ糖と同じ甘さですが小腸で吸収されにくく、結果としてカロリーが4割程度と低くなるため、人口甘味料として使えます。最近になって大量生産の方法が開発され、アメリカでは既に利用されています。日本では2006年に安全性評価がおこなわれ、おそらく食品添加物として市場に出るでしょう。工業的にはガラクトースをアルカリで処理してタガトースに変換します。体内では果糖と同じ経路で代謝されます。 | ショ糖と同じ甘さですが小腸で吸収されにくく、結果としてカロリーが4割程度と低くなるため、人口甘味料として使えます。最近になって大量生産の方法が開発され、アメリカでは既に利用されています。日本では2006年に安全性評価がおこなわれ、おそらく食品添加物として市場に出るでしょう。工業的にはガラクトースをアルカリで処理してタガトースに変換します。体内では果糖と同じ経路で代謝されます。 | ||
L体は天然に存在しません。 | L体は天然に存在しません。 | ||
|Hirst EL, Nature, 1949;163:177 PMID 18213788<br/>Rao D, J Biosci Bioeng, 2008;106:473 PMID 19111643 | |Hirst EL, Nature, 1949;163:177 PMID 18213788<br/>Rao D, J Biosci Bioeng, 2008;106:473 PMID 19111643 | ||
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− | | psicose || D体は希少糖で、甘しょ廃糖蜜に存在します。抗生物質Psicofuranineの成分です。D-fructoseを原料にした大量生産の方法が開発されています。ノンカロリーですが、投与するとグルコース同様インスリンを分泌すさせるなどの生理活性を持ちます。L体は天然に存在しません。 | + | | D-psicose [[File:Alpha-D-Psicose_6.png|80px]] || D体は希少糖で、甘しょ廃糖蜜に存在します。抗生物質Psicofuranineの成分です。D-fructoseを原料にした大量生産の方法が開発されています。ノンカロリーですが、投与するとグルコース同様インスリンを分泌すさせるなどの生理活性を持ちます。L体は天然に存在しません。 |
| Poonperm W, J Biosci Bioeng, 2007;103:28 PMID 17434433 | | Poonperm W, J Biosci Bioeng, 2007;103:28 PMID 17434433 | ||
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Revision as of 16:31, 3 October 2011
Contents |
6 単糖のアルドース
多くの糖は-oseという語尾をもちます。この中でアルデヒド(aldehyde)基をもつ糖の総称をアルドース(aldose)といいます。炭素 6 個のアルドースは 4 個の不斉炭素を持ち、 24=16 通りの異性体があります。このうちの 8 つ(L体)は自然界に存在せず、残りの 8 種についても、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース以外はほとんどみられません。
- 参考文献
- Takeuchi M, Chirality, 2000;12:338 PMID 10824148
- Zemek J, Folia Microbiol (Praha), 1975;20:467 PMID 285
D-Glucose
- 参考文献
- Van Creveld S, Biochem J, 1923;17:860 PMID 16743225
- Rudney H, Science, 1940;92:112 PMID 17755265
D-Galactose
- 参考文献
- Batey JF, Carbohydr Res, 1975;43:133 PMID 1182710
- Fried J, J Am Chem Soc, 1949;71:140 PMID 18123429
- May F, Hoppe Seylers Z Physiol Chem, 1954;296:154 PMID 13221239
D-Mannose
- 参考文献
- Fried J, J Am Chem Soc, 1949;71:140 PMID 18123429
そのほかのaldose (allose, idose, gulose, talose, altrose)
名前 | 詳細 | 文献 |
---|---|---|
allose |
D-alloseは Protea rubropilosaという植物に含まれることが知られていますが、天然にはほとんど存在しない希少糖ですが、D-psicoseから人工合成できます。L-allose は天然に存在しません。 | Poonperm W, J Biosci Bioeng, 2007;103:28 PMID 17434433 Perold GW, J Chem Soc Perkin, 1973;6:643 PMID 4736394 |
idose |
D-idoseは希少糖ですが、アルデヒド部分がカルボキシル基に変化したイヅロン酸(iduronic acid)が細胞内の糖鎖グリコサミノグリカン(アミノ糖を持つ多糖でGAGと略される)に含まれます。L-idoseは天然に存在せず、1,2-O-Isopropylidene-alpha-D-glucofuranoseから人工合成されます。 | Ali Y, J Chem Soc Perkin, 1968;14:1764 PMID 5691107 Horton D, Carbohydr Res, 1977;58:89 PMID 912687 |
gulose |
D-gulose, L-gulose共に希少糖です。D体はCaulobacter crescentus(強力な接着物質を産生する水生菌)などの細菌から単離され、L-tagatoseとD-sorboseから人工合成できます。L体は好熱好酸性古細菌Thermoplasma acidophilumに特有です。 構造がglucoseの不斉炭素をひっくり返して得られるため、glucoseの文字をひっくり返してguloseとつけられました。 |
Bhuiyan SH, J Biosci Bioeng, 1999;88:567 PMID 16232663 Ravenscroft N, J Bacteriol, 1991;173:5677 PMID 1885545 Swain M, Biochim Biophys Acta, 1997;1345:56 PMID 9084501 |
talose |
D,L体とも天然には存在しません。D体は、タンパク質合成を阻害するアミノグリコシド系抗生物質Hygromycin Bの成分です。L体はL-tagatoseとD-sorboseから人工合成されます。 | Paul F, J Org Chem, 1962;27:2793 DOI: 10.1021/jo01055a020 Bhuiyan SH, J Biosci Bioeng, 1999;88:567 PMID 16232663 |
altrose |
D,L体とも天然には存在しません。D体はD-psicoseから人工合成できます。 | Poonperm W, J Biosci Bioeng, 2007;103:28 PMID 17434433 Hyatt MT, J Bacteriol, 1964;88:1403 PMID 14234800 |
デオキシ誘導体(rhamnose, fucose, quinovose)
酸素が足りない糖をデオキシ糖と呼びます。細胞壁の成分として有名なL-ラムノースとL-フコースはそれぞれFishcer投影法で描いたときに一番下にくる炭素( 6 位)から酸素がなくなったL-マンノースとL-ガラクトースのことです。D-キノボーズは、6-デオキシグルコースのことです。
名前 | 構造 | 解説 | 文献 |
---|---|---|---|
L-rhamnose = 6-deoxy-L-mannose | L-rhamnoseはRhamnus属(クロウメモドキ属)の植物Sea Buckthornから単離されました。Rhamnosideの形で、多糖、配糖体、植物ゴムの成分として、植物に普遍的に存在します。D体は希少糖で、抗酸菌糖脂質Glycopeptidolipid (GPL) に含まれます。 | Rasputina DB, Chemistry of Natural Compounds, 1975;11:105 DOI: 10.1007/BF00567049 Wilson DM, Biochim Biophys Acta, 1955;17:289 PMID 13239680 Nishikawa K, Kekkaku, 1998;73:295 PMID: 9613050 Ramm M, Carbohydr Res, 2003;338:109 PMID 12504387 | |
L-fucose = 6-deoxy-L-galactose | L-fucoseは海藻に含まれるFucoidan(フコイダン)等の粘質多糖類をはじめ、ミルクオリゴ糖、糖タンパク、糖脂質の成分。動植物に普遍的に存在します。D体は希少糖でDigitalis(ジギタリス)配糖体の成分に含まれます。 | James SP, J Chem Soc, 1945;Nov:746 PMID 13319278 James SP, J Chem Soc, 1945;:746 PMID 21008345 Springer GF, Biochem J, 1962;85:282 PMID 13978547 | |
D-quinovose = 6-deoxy-D-glucose | Quina(キナ)の樹皮に含まれる配糖体Quinovinの成分です。Sulfateの形で植物に普遍的に存在します。
L体は天然に存在しません。 |
Michaljanicova D, Folia Microbiol, 1981;26:89 PMID 7262717 Sonesson A, Microbiology, 1994;140:2663 PMID 8000537 |
6 単糖のケトース
アルドースに対して、ケト(keto)基、つまり 2 重結合でつながった酸素をもつ糖をケトース(ketose)といいます。 6 炭糖のケトースは 3 個の不斉炭素を含むので 23=8 通りの異性体があります。
D-Fructose
- 参考文献
- Gottschalk A, Biochem J, 1946;40:621 PMID 20273651
- Wolfrom ML, J Am Chem Soc, 1946;68:791 PMID 21024884
- Leang K, J Biosci Bioeng, 2003;95:310 PMID 16233412
そのほかのketose (sorbose, tagatose, psicose)
名前 | 解説 | 文献 |
---|---|---|
L-sorbose D-sorbose |
L体がナナカマド(orbus属 Sorbus commixta)の実から発見されたため、この名前がつきました。複合多糖類Pectinの成分として、植物の細胞壁に存在します。
ソルボースのアルデヒドを還元してアルコールにしたものがソルビトール(sorbitol)です。これはグルコースを高圧で触媒により還元させて作ります。ドイツ語ではソルビット(solbit)、日本での年間消費量が10万トンを超える有名な糖アルコールです。甘さはショ糖を1として0.6程度。甘味料のほか保湿剤としても使われます。主に、コンビニのおにぎり、歯磨き粉の原材料として利用されています。 D体は希少糖でD-Tagatoseから合成できます。 |
Burns JJ, J Biol Chem, 1955;214:507 PMID 14381387 Hyatt MT, J Bacteriol, 1964;88:1403 PMID 14234800 Bhuiyan SH, J Biosci Bioeng, 1999;88:567 PMID 16232663 |
D-tagatose | D体は希少糖でSterculiaceae科(アオギリ科)植物の植物ゴムの成分です。
ショ糖と同じ甘さですが小腸で吸収されにくく、結果としてカロリーが4割程度と低くなるため、人口甘味料として使えます。最近になって大量生産の方法が開発され、アメリカでは既に利用されています。日本では2006年に安全性評価がおこなわれ、おそらく食品添加物として市場に出るでしょう。工業的にはガラクトースをアルカリで処理してタガトースに変換します。体内では果糖と同じ経路で代謝されます。 L体は天然に存在しません。 |
Hirst EL, Nature, 1949;163:177 PMID 18213788 Rao D, J Biosci Bioeng, 2008;106:473 PMID 19111643 |
D-psicose | D体は希少糖で、甘しょ廃糖蜜に存在します。抗生物質Psicofuranineの成分です。D-fructoseを原料にした大量生産の方法が開発されています。ノンカロリーですが、投与するとグルコース同様インスリンを分泌すさせるなどの生理活性を持ちます。L体は天然に存在しません。 | Poonperm W, J Biosci Bioeng, 2007;103:28 PMID 17434433 |