Aritalab:Lecture/Algorithm/CooksTheorem

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(Cookの定理)
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SATがNPに入ることは明らかです。正解となる論理変数の割り当てを知っていれば、節が充足されることを検証するのは簡単です(線形時間しか要しません)。
 
SATがNPに入ることは明らかです。正解となる論理変数の割り当てを知っていれば、節が充足されることを検証するのは簡単です(線形時間しか要しません)。
SATがNP完全であることを示すには、NPに属するあらゆる問題が、SATの一例とみなせることを示さなくてはなりません。
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SATがNP完全であることを示すには、NPに属するあらゆる問題が、SATの一例とみなせることを示さなくてはなりません。しかし、あらゆるNP問題を逐一SATに変換していては埒が明きません。
 
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あらゆるNP問題を全て逐一、SATに変換していては埒が明きません。
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そのかわり、非決定性チューリング機械 (NDTM) の全動作パターンを、SATで特定できることを示します。
 
そのかわり、非決定性チューリング機械 (NDTM) の全動作パターンを、SATで特定できることを示します。
入力文字列を x 、計算が終わるまでに必要な多項式時間ステップを p(n) (n = |X|) とします (受理状態も含めます)。 この時間内で、NDTMはテープ位置 -p(n) から p(n) + 1 の内側しか処理できません。
 
 
:NDTMのパラメータ
 
:: 状態数: |Q| = r (YES, NOに対応する受理状態も含みます)
 
:: 記号数: |&Gamma;| = v
 
:: 利用可能なテープ位置: -p(n) から p(n) + 1 の間
 
  
時間ステップもテープ位置も有限ですから、これらに関する処理を有限個の変数で記述することが可能です。そのため、以下の変数を用意します。
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入力文字列を x 、計算が終わるまでに必要な多項式時間ステップを p(n) (n = |X|) とします (受理状態も含めます)。 この時間内で、NDTM ''M'' = (&Gamma;, Q, &delta;, x) はテープ位置 -p(n) から p(n) + 1 の内側しか処理できないことを利用します。''M'' の状態数やテープ記号数も有限ですから、これらに関する処理を有限個の変数で記述することが可能です。
  
 
{| class="wikitable"
 
{| class="wikitable"
! 変数 || 意味 || 変数の個数
+
! 変数 || 意味 || パラメータ || 大雑把な個数
 
|-
 
|-
| Q<sub>i,k</sub> || 時間 i においてNDTMが状態 q<sub>k</sub>にある時に限り T
+
| Q[t<sub>i</sub>, q<sub>k</sub>] || 時間 i において ''M'' が状態 q<sub>k</sub>にある時に限り True
| 0 &le; i &le; p(n)<br/>0 &le; k &le; r
+
| 0 &le; i &le; p(n)<br/>0 &le; k &le; &#124;Q&#124;
 +
| p(n) * &#124;Q&#124;
 
|-
 
|-
| H<sub>i,j</sub> || 時間 i においてNDTMのヘッドがテープ位置 j にある時に限り T
+
| H[t<sub>i</sub>, j] || 時間 i において ''M'' のヘッドがテープ位置 j にある時に限り True
 
|  0 &le; i &le; p(n)<br/>-p(n) &le; j &le; p(n) + 1
 
|  0 &le; i &le; p(n)<br/>-p(n) &le; j &le; p(n) + 1
 +
| 2 p(n)<sup>2</sup>
 
|-
 
|-
| S<sub>i,j,k</sub> || 時間 i においてテープ位置 j に記号 s<sub>k</sub> が書かれている時に限り T
+
| S[t<sub>i</sub>, j, s<sub>k</sub>] || 時間 i においてテープ位置 j に記号 s<sub>k</sub> が書かれている時に限り True
| 0 &le; i &le; p(n)<br/>-p(n) &le; j &le; p(n) + 1<br/>0 &le; k &le; v
+
| 0 &le; i &le; p(n)<br/> -p(n) &le; j &le; p(n) + 1<br/>0 &le; k &le; &#124;&Gamma;&#124;
 +
| 2 p(n)<sup>2</sup> * &#124;&Gamma;&#124;
 
|}
 
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Revision as of 11:13, 31 October 2010

クックの定理

クックは1971年に論理式の充足可能性問題がNP完全であることを証明しました。

参考文献 
Garey MR, Johnson DS "Computers and Intractability" WH Freeman & Co. 1979

論理式の充足可能性問題

ブール変数の集合 U = { u1, u2 ... um } に対する真偽の割り当て t: U → {T, F} を考えます。変数が m 個あれば、割り当てパターンは 2m 通りあります。 U に含まれる複数個のブール変数 u またはその否定 ¬u を ∨ (or) でつないだものを節といいます。 節が真になるとき、その節は充足されたといいます。 例えば{ u1, ¬u3, u8 } という節は、 u1 = F かつ u3 = T かつ u8 = F でない限り充足されます。(充足する真偽の割り当ては7パターンあります。)

節の集合 C が充足可能であるとは、C に含まれる節を全て充足するようなブール変数の集合 U に対する真偽の割り当て t が存在することをいいます。この定義を用いて、充足可能性問題 (SAT: Satisfiability Problem) は以下のように書けます。

「変数の集合 U 上の節集合 C に対して、それを充足する真偽の割り当てが存在するか?」

例えばU = { u1, u2 } において

C = { {¬u1, u2}, {u1, ¬u2} } は充足可能 ( u1 = u2 = T のとき)
C = { {¬u1, u2}, {u1, ¬u2}, {¬u1} } は充足不可能

となります。充足可能性を判定するには、2m 通りに近い真偽パターンを試す以外に方法が無いと考えられています。

Cookの定理

充足可能性問題 (SAT) はNP完全である

SATがNPに入ることは明らかです。正解となる論理変数の割り当てを知っていれば、節が充足されることを検証するのは簡単です(線形時間しか要しません)。 SATがNP完全であることを示すには、NPに属するあらゆる問題が、SATの一例とみなせることを示さなくてはなりません。しかし、あらゆるNP問題を逐一SATに変換していては埒が明きません。 そのかわり、非決定性チューリング機械 (NDTM) の全動作パターンを、SATで特定できることを示します。

入力文字列を x 、計算が終わるまでに必要な多項式時間ステップを p(n) (n = |X|) とします (受理状態も含めます)。 この時間内で、NDTM M = (Γ, Q, δ, x) はテープ位置 -p(n) から p(n) + 1 の内側しか処理できないことを利用します。M の状態数やテープ記号数も有限ですから、これらに関する処理を有限個の変数で記述することが可能です。

 変数 意味 パラメータ 大雑把な個数
Q[ti, qk] 時間 i において M が状態 qkにある時に限り True 0 ≤ i ≤ p(n)
0 ≤ k ≤ |Q|
p(n) * |Q|
H[ti, j] 時間 i において M のヘッドがテープ位置 j にある時に限り True 0 ≤ i ≤ p(n)
-p(n) ≤ j ≤ p(n) + 1
2 p(n)2
S[ti, j, sk] 時間 i においてテープ位置 j に記号 sk が書かれている時に限り True 0 ≤ i ≤ p(n)
-p(n) ≤ j ≤ p(n) + 1
0 ≤ k ≤ |Γ|
2 p(n)2 * |Γ|
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