Tochimoto:Glycyrrhizae Radix
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{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『中華人民共和国薬典 2005年』|甘草:RADIX ET RHIZOMA GLYCYRRHIZAE | {{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『中華人民共和国薬典 2005年』|甘草:RADIX ET RHIZOMA GLYCYRRHIZAE | ||
− | |甘草[[Species:Glycyrrhiza|''Glycyrrhiza uralensis'' Fisch.]]、脹果甘草 | + | |甘草[[Species:Glycyrrhiza|''Glycyrrhiza uralensis'' Fisch.]]、脹果甘草 ''Glycyrrhiza inflata'' Bat. あるいは光果甘草 ''Glycyrrhiza glabra'' L. の干燥した根および根茎と規定されている。}} |
{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『大韓薬典 第9改正』|감초 甘草:GLYCYRRHIZAE RADIX ET RHIZOMA | {{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『大韓薬典 第9改正』|감초 甘草:GLYCYRRHIZAE RADIX ET RHIZOMA | ||
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==市場流通品と現状== | ==市場流通品と現状== | ||
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===新疆甘草=== | ===新疆甘草=== | ||
− | 新疆ウイグル自治区などで生産される甘草で、甘草エキス及びグリチルリチン抽出用原料などに用いられ、漢方薬材には一般的に用いられない。基原植物については、新疆北部で生産される甘草には[[Species:Glycyrrhiza|''G. glabra'']]や | + | 新疆ウイグル自治区などで生産される甘草で、甘草エキス及びグリチルリチン抽出用原料などに用いられ、漢方薬材には一般的に用いられない。基原植物については、新疆北部で生産される甘草には[[Species:Glycyrrhiza|''G. glabra'']]や ''G. uralensis'' も見られるが、中部南部に成育するものは ''G. inflata'' が主流で、一般的に新疆甘草は ''G. inflata'' であるとされ、日本薬局方には適合しない。 |
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|+ 3. 栽培甘草(栃本・中国陝西省栽培品:5年生)の理化学試験DATA <br/>(日本生薬学会第54回年会(2007年)発表) | |+ 3. 栽培甘草(栃本・中国陝西省栽培品:5年生)の理化学試験DATA <br/>(日本生薬学会第54回年会(2007年)発表) | ||
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− | | | + | | 西正甘草・丁級毛草<br/><陝西省><br/>(髄が大きいもの) |
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|[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-西正甘草 乙級 -PICT-J.jpg|120px]] | |[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-西正甘草 乙級 -PICT-J.jpg|120px]] | ||
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| <栽培・根><br/> (瘤から 80cm) | | <栽培・根><br/> (瘤から 80cm) | ||
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− | |[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-野生・根①(瘤から5cm).PCT-J.jpg| | + | |[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-野生・根①(瘤から5cm).PCT-J.jpg|120px]] |
|[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-栽培・根②(瘤から30cm).PCT-J.jpg|130px]] | |[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-栽培・根②(瘤から30cm).PCT-J.jpg|130px]] | ||
|[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-栽培・根③(瘤から80cm).PCT-J.jpg|140px]] | |[[Image:Tochimoto-Glycyrrhiza-栽培・根③(瘤から80cm).PCT-J.jpg|140px]] | ||
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| ○アフガン甘草<br/> (太い部分)・木部 | | ○アフガン甘草<br/> (太い部分)・木部 | ||
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Latest revision as of 00:41, 25 December 2010
Crude-drug Top Gallery |
General Index | Names | Prescriptions | Books | Journals | Terminology | Chinese Medicines |
出典: 栃本天海堂創立60周年記念誌 |
[edit] 甘草 (Glycyrrhizae Radix)
甘草はマメ科のGlycyrrhiza uralensis FischerまたはGlycyrrhiza glabra Linnéの根およびストロンを基原とする。神農本草経の上品に収載され、甘味な甘草を諸薬の「君」とする72種の乳石毒を治療し、1200種の草本の毒を解毒するとされ、その薬効は調和することにあり、それゆえ『国老』の名称がある。厚生省(現厚生労働省)が指定した繁用漢方処方 210処方中 150品目(71.4%) に配合されている最も使用頻度の高い生薬である。 天然資源の乱獲、地球温暖化の影響を受け、砂漠化が拡大しているために、資源の枯渇が心配され、中国政府は採取や輸出を規制している。当社では自然環境に配慮した安定供給を目指し、2000年から中国陝西省で甘草の栽培研究を開始し、現在、日本薬局方に適合する甘草の栽培技術を確立した。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
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[edit] 甘 草
『日本薬局方 第15改正(JP15)』
- 甘草:GLYCYRRHIZAE RADIX
- Glycyrrhiza uralensis FischerまたはGlycyrrhiza glabra Linné (Leguminosae) の根およびストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)と規定されている。
『中華人民共和国薬典 2005年』
- 甘草:RADIX ET RHIZOMA GLYCYRRHIZAE
- 甘草Glycyrrhiza uralensis Fisch.、脹果甘草 Glycyrrhiza inflata Bat. あるいは光果甘草 Glycyrrhiza glabra L. の干燥した根および根茎と規定されている。
『大韓薬典 第9改正』
- 감초 甘草:GLYCYRRHIZAE RADIX ET RHIZOMA
- 감초 Glycyrrhiza uralensis Fischer、광과감초(光果甘草) Glycyrrhiza glabra Linné または창과감초(脹果甘草) Glycyrrhiza inflata Batal. の根および根茎でそのまま、または周皮を取り除いたものと規定されている。
[edit] 市場流通品と現状
日本市場では古く錦州甘草、福州甘草と呼ばれ流通していた。錦州甘草は現在の東北甘草、福州甘草は西北甘草を指し、日本市場では錦州甘草が甘味が強く薬用として好まれた。 近年、中国産の甘草は「東北甘草」「梁外甘草」「西鎮(西正)甘草」「西北甘草」「新疆甘草」「皮去甘草」の規格で流通していたが、資源の枯渇が進み、良品とされた中国西北部で生産される「梁外甘草」「西鎮(西正)甘草」は品質が低下して「西北甘草」との差異がなくなってきている。また東北甘草の代替品として、中国西北部で生産されるグリチルリチン含量の高い、根の上端の根頭部がこぶ状になった部分(以下蘆頭と記載)がある「有頭甘草(帯頭甘草)」の規格ができている。
[edit] 東北甘草
中国東北部の内蒙古、吉林省、黒竜江省、遼寧省で生産され、以前は内蒙古自治区赤峰、遼寧省錦州に集散されていたことから「錦州甘草」の名がある。東北甘草は根の上部にあるストロンが伸びる部分の蘆頭部を残して加工しているのが特徴である。内部は充実しておらず、軽質で外皮の色は赤黒く、甘味が強い。商品規格としては太さで1号、2号、3号、4号、毛草、混節がある。2号甘草は直径が1.1~1.6cm、長さは61cm以上が60%、長さ31~61cmは40%と輸出規格が決められていたが、現在はこの規格に合う2号甘草は非常に少ない。
[edit] 梁外甘草
内蒙古自治区伊盟の杭錦旗で産出される甘草である。最優良品といわれており、質は充実しており、外皮の色は紫紅色で、内部は鮮薄黄色が特徴で粉質層が厚いとされる。両端の切断面の太さは同一であり、商品規格としては甲級、乙級、丙級、丁級がある。近年、資源が枯渇し、従来の梁外甘草と同じ品質のものは市場では見当たらない。
[edit] 西鎮(西正)甘草
内蒙古自治区伊盟中心区の鄂托克旗、寧夏回族自治区の陶楽、平羅などの地区に産出する甘草で根は太く、均一で、外皮の色は赤褐色で、品質は梁外甘草より劣るとされている。梁外甘草と同じく両端の切断面の太さは同一であり、商品規格としては甲級、乙級、丙級、丁級がある。日本市場で西北甘草として使用される調剤用甘草はこの規格である。 西正甘草ともいわれるが、西鎮と西正は中国語では同じ発音をするため、簡易文字として西正甘草が使われている。 白粉甘草とも呼ばれた皮去甘草も一部流通している。規格はA級(乙級)、B級(丙級)、C級(丁級)と太さで等級分けされる。
[edit] 西北甘草
中国西北部で生産される梁外・西鎮甘草は内蒙甘草と呼ばれ、それ以外の西北部で生産されるものを西北甘草としている。陝西省の定辺・安辺・靖辺・横山・楡林、甘粛省の塩池・合水・慶陽・天水・礼県・武威・民勤・張掖などで産出される。質は粗く軽質で根の下部で分枝するものが多いのが特徴で、上部が大きく下部が細く、両端の太さは一般的に同一でなく、外皮は黒褐色が多く内部の色調は暗黄色で、経験的鑑別では西鎮甘草よりは劣るとされている。 規格は1号、2号、3号、4号、毛草と太さで分けていたが、現在は西鎮甘草と同じく甲級、乙級、丙級、丁級、毛草として出荷され、西北甘草と西鎮甘草の区別がなくなっている。 一部地域では東北甘草のように蘆頭付のまま加工し、「有頭甘草(帯頭甘草)」と称して東北甘草の代用で、近年流通している。
[edit] 新疆甘草
新疆ウイグル自治区などで生産される甘草で、甘草エキス及びグリチルリチン抽出用原料などに用いられ、漢方薬材には一般的に用いられない。基原植物については、新疆北部で生産される甘草にはG. glabraや G. uralensis も見られるが、中部南部に成育するものは G. inflata が主流で、一般的に新疆甘草は G. inflata であるとされ、日本薬局方には適合しない。
[edit] 調剤用甘草の種類
- 東北甘草(刻)
- 日本市場では甘味が強く、苦味のない東北甘草が広く流通する。東北甘草を薬用に用いるのは日本市場だけで、韓国、中国では、ほとんど薬用に使用しない。
- 西北甘草(刻)
- 東北甘草に比べて甘味は少なく、苦味も少し感じられ、一般的にはグリチルリチン含量も低い傾向がある。薬用甘草の主流である。
- 西北甘草(○切)
- 東北甘草は質が脆いため、○切りには向かない。調剤用生薬は飲片(斜め輪切りにしたもの)が主流であった名残で、○切りを好む漢方家も少なくない。
- 近年の中国からの甘草輸出数量:中国輸出統計より
中国から輸出される甘草の約70%は日本と韓国に輸出される。近年、中国甘草の資源枯渇が表面化し、中国政府から甘草の様々な保護政策が打ち出されたが、乱掘は防止できず自然破壊が進み、環境の現状を座視できない状態にまで陥っている。大量消費国である日本、韓国は、中国における薬用甘草資源の保全と自然環境保護の重要性を認識する必要がある。
[edit] 生産加工状況
[edit] 東北甘草
[edit] 西北甘草(西鎮甘草)
西北甘草の自生地は草原地域と山間地域に大別でき、草原地域の甘草が西鎮甘草に加工され、品質の劣るとされる西北甘草は概ね山間地域で生産されている。
[edit] 新疆甘草
[edit] ㈱栃本天海堂の甘草栽培
当社は2000年からアルプス薬品工業株式会社と協同で商業栽培を開始し、2008年より栽培甘草の輸入を始めている。
[edit] 理化学的品質評価
産地 | 検体数 | 灰分 7.0%以下 |
酸不溶性灰分 2.0%以下 |
乾燥減量 12.0%以下 |
希エタノール エキス含量 25.0%以上 |
---|---|---|---|---|---|
東北甘草 | 205 | 4.0 ±0.6 | 0.6 ±0.3 | 8.9 ±1.5 | 37.6 ±3.7 |
梁外甘草 | 15 | 4.3 ±0.7 | 0.4 ±0.2 | 8.5 ±1.3 | 34.0 ±3.6 |
西正甘草 | 272 | 4.2 ±0.5 | 0.6 ±0.3 | 8.5 ±1.6 | 35.1 ±3.9 |
西北甘草 | 148 | 4.3 ±0.5 | 0.7 ±0.3 | 8.7 ±1.2 | 35.5 ±3.9 |
帯頭甘草 | 35 | 4.5 ±0.5 | 0.6 ±0.1 | 11.5 ±3.3 | 40.2 ±2.8 |
皮去甘草 | 43 | 3.2 ±0.6 | 0.2 ±0.1 | 9.5 ±1.2 | 31.4 ±4.2 |
- 灰分
- 帯頭甘草, 西北甘草, 梁外甘草, 西正甘草 > 東北甘草 > 皮去甘草 ( p < 0.05 )
- 希エタノールエキス含量
- 帯頭甘草 > 東北甘草 > 西北甘草, 西正甘草, 梁外甘草 > 皮去甘草 ( p < 0.05 )
産地 | 検体数 | 灰分 7.0%以下 |
酸不溶性灰分 2.0%以下 |
乾燥減量 12.0%以下 |
希エタノール エキス含量 25.0%以上 |
---|---|---|---|---|---|
東北1号 | 18 | 4.2 ±0.4 | 0.7 ±0.3 | 9.0 ±1.1 | 36.1 ±2.9 |
東北2号 | 97 | 3.9 ±0.5 | 0.6 ±0.3 | 9.2 ±1.6 | 38.5 ±3.5 |
東北3号 | 44 | 3.9 ±0.7 | 0.7 ±0.4 | 8.6 ±1.2 | 37.8 ±4.1 |
東北4号 | 9 | 4.5 ±0.6 | 1.0 ±0.5 | 8.4 ±0.8 | 34.7 ±3.7 |
西正乙級 | 32 | 4.0 ±0.6 | 0.4 ±0.2 | 9.1 ±1.4 | 34.0 ±3.2 |
西正丙級 | 47 | 4.2 ±0.6 | 0.5 ±0.2 | 8.5 ±1.1 | 37.1 ±4.2 |
西正丁級 | 55 | 4.3 ±0.5 | 0.6 ±0.2 | 8.4 ±1.6 | 35.6 ±3.8 |
西北丙級 | 13 | 4.1 ±0.5 | 0.4 ±0.1 | 8.5 ±0.7 | 36.4 ±4.4 |
西北丁級 | 51 | 4.4 ±0.4 | 0.7 ±0.3 | 8.8 ±1.5 | 35.4 ±3.9 |
帯頭2号 | 16 | 4.5 ±0.6 | 0.5 ±0.1 | 12.1 ±3.6 | 40.0 ±2.4 |
帯頭3号 | 14 | 4.5 ±0.5 | 0.6 ±0.1 | 11.6 ±3.3 | 40.7 ±2.7 |
皮去A級 | 26 | 3.2 ±0.6 | 0.2 ±0.1 | 9.6 ±1.1 | 31.5 ±4.5 |
皮去B級 | 9 | 3.0 ±0.4 | 0.2 ±0.1 | 9.3 ±1.0 | 30.3 ±2.0 |
- 希エタノールエキス含量
- 東北甘草 : 2号, 3号 > 1号, 4号 ( p < 0.05 )
- 西正甘草 :丙級 > 丁級 > 乙級 ( p < 0.05 )
- 西北甘草 :丙級と丁級で有意差無し
- 帯頭甘草 : 2号と3号で有意差無し
- 皮去甘草 : A級とB級で有意差無し
[edit] glycyrrhizin 含量の比較 (JP : 2.5%以上)
- 1) 規格別比較
- 帯頭甘草 > 東北甘草 > 西北甘草,西正甘草 > 梁外甘草,皮去甘草 (p < 0.05)
- 2) 各規格の等級別
- 東北甘草 : 2号 > 1号 (p < 0.05). その他は有意差無し
- 西正甘草 :丙級 > 丁級, 乙級 (p < 0.05)
- 西北甘草 :丙級と丁級で有意差無し
- 帯頭甘草 : 2号と3号で有意差無し
- 皮去甘草 : A級 > B級 (p < 0.05)
- G. uralensisのglycyrrhizin 含量と希エタノールエキス含量の個体内、個体間の差
- 東北甘草、西北甘草のglycyrrhizin 含量と希エタノールエキス含量の個体内、個体間の差
灰分 7.0%以下 |
酸不溶性灰分 2.0%以下 |
乾燥減量 12.0%以下 |
希エタノール エキス含量 25.0%以上 |
glycyrrhizin含量 2.5%以上 |
---|---|---|---|---|
3.9% | 0.4% | 8.6% | 29.4% | 3.65% |
[edit] 内部形態:鏡検
- 生薬の性状 JP15
本品はほぼ円柱形を呈し、径0.5~3.0cm、長さ1m以上に及ぶ。外面は暗褐色~赤褐色で縦じわがあり、しばしば皮目、小芽及びりん片葉を付ける。周皮を除いたものは外面が淡黄色で繊維性である。横切面では、皮部と木部の境界がほぼ明らかで、放射状の構造を現し、しばしば放射状にさけ目がある。ストロンに基づくものでは髄を認めるが、根に基づくものではこれを認めない。 本品は弱いにおいがあり、味は甘い。
本品の横切片を鏡検するとき、黄褐色の多層のコルク層とその内層に1~3細胞層のコルク皮層がある。皮部には放射組織が退廃師部と交互に放射状に配列し、師部には結晶細胞列で囲まれた厚膜で木化不十分な師部繊維群がある。周皮を除いたものでは師部の一部を欠くものがある。木部には黄色で巨大な道管の列と3~10細胞列の放射組織が交互に放射状に配列する。道管は結晶細胞列で囲まれた木部繊維及び木部柔細胞を伴う。ストロンに基づくものでは柔細胞性の髄がある。柔細胞はでんぷん粒を含み、また、しばしばシュウ酸カルシウムの単晶を含む。
- 内部形態の比較
中央部の柔組織には原生木部が認められ、髄ではない。師部は斜行し、放射状の木部は中央部に近い部分から分岐が見られ、ほぼ4原型を示している。
東北甘草は西北甘草に比べて、木部繊維が発達しているが、産地の土壌、気候の関係と思われ、基本的に同じ内部形態を示し、いずれもウラルカンゾウ G. uralensisと考えられる。
[edit] 西正甘草・東北甘草
西正甘草・丁級毛草には、径が細くても中央に大きな髄が認められるもの(ストロン)と認められないもの(根)が混在している。 一般的に毛草は、ストロンと細い根が混在していると考えられる。
西正甘草・乙級 <中国陝西省> |
東北甘草・2号 <中国内蒙古自治区> |
西正甘草・丁級毛草 <陝西省> (髄が大きいもの) |
西正甘草・丁級毛草 <陝西省> (髄がほとんどないもの) |
[edit] 野生・栽培の比較
<野生・ストロン> | <野生・根> (瘤から 5cm) |
<栽培・根> (瘤から 30cm) |
<栽培・根> (瘤から 80cm) |
[edit] 新疆甘草と苦甘草
- 新疆甘草
西正甘草と同等の太さのもので、中央に大きな髄が見られる。木部の分岐は少なく、中央から放射状に伸びている。師部も真直の放射状を示している(この検体は、リコカルコンが認められたものである。 G. inflataと考えられる)。 新疆にはウラルカンゾウ以外にG. inflata,G. glabra,G. eurycarpa P.C. Li及び G. aspera Pall.が分布しているといわれている。
- 苦甘草
苦甘草は、まれに甘草の中に混入していることがある。甘草とほぼ似た内部形態を示しているが、道管の径は小さく、師部繊維束は集合している繊維の数が少なく、小さい。味が甘草と異なり、非常に苦く、基原植物は Sophora alopecuroides L.といわれている。
○新疆甘草 | ○苦甘草 |
[edit] 栽培甘草2年生と3年生
○栽培甘草2年生 | ○栽培甘草2年生 | ○栽培甘草3年生 | ○栽培甘草3年生 |
[edit] アフガン甘草
○アフガン甘草 (細い部分) |
○アフガン甘草 (太い部分)・皮部 |
○アフガン甘草 (太い部分)・木部 |