Tochimoto:Pinelliae Tuber

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(New page: 半  夏 PINELLIAE TUBER 半夏はサトイモ科のカラスビシャクPinellia ternata Breitenbachのコルク層を除いた塊茎を基原とする。生産期は5月中旬で...)
 
m (理化学的品質評価)
 
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半  夏
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{{CrudeDrug/Header}}
PINELLIAE  TUBER
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半夏はサトイモ科のカラスビシャクPinellia ternata Breitenbachのコルク層を除いた塊茎を基原とする。生産期は5月中旬で、半分夏であることから「半夏」と言われるようになった。節季の七十二候に「半夏生(ハンゲショウズ)」の雑節があるが、これは半夏(烏柄杓:カラスビシャク)という薬草が生えるころを意味していることも興味深い。半夏は畑や田んぼの畔に多く自生しており、本草書に「守田」「水玉」の名があるのも理解できる。残念なことだが水田で農薬が使用されるようになり、野生品が減少している。
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{| style="float:right"
流通する半夏の多くは野生品の採集で生産されている。そのためか同じサトイモ科の「天南星」が混入することが多く、生薬の外部形態からは識別が難しいのが現状である。また古来、半夏は白くて大きなものが良品とされ、中国の生産では漂白を目的に硫黄燻蒸が一般的に行われており、SO2残留の安全性や、硫黄酸化物による大気汚染の問題があるため、当社では硫黄燻蒸を施さない「無硫半夏」を特別に生産し、「有硫半夏」と区別している。
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|__TOC__
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|}
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==半  夏==
  
『日本薬局方 15改正(JP15)』
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{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『日本薬局方 15改正(JP15)』|半夏:PINELLIAE TUBER
半夏:PINELLIAE TUBER
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|カラスビシャク [[Species:Pinellia|''Pinellia ternata'' Breitenbach]] ([[:Category:Araceae|Araceae]])のコルク層を除いた塊茎と規定されている。}}
 カラスビシャク Pinellia ternata Breitenbach (Araceae) のコルク層を除いた塊茎と規定されている。
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『中華人民共和国薬典2005年版』
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{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『中華人民共和国薬典2005年版』|半夏:RHIZOMA PINELLIAE
半夏:RHIZOMA PINELLIAE
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|半夏 [[Species:Pinellia|''Pinellia ternata'' (Thunb.) Breit.]] の乾燥した塊茎と規定されている。}}
 半夏 Pinellia ternata (Thunb.) Breit. の乾燥した塊茎と規定されている。
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『大韓薬典 第9改正』
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{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『大韓薬典 第9改正』|반하 半夏:PINELLIAE TUBER
반하 半夏:PINELLIAE TUBER
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|반하 [[Species:Pinellia|''Pinellia ternata'' Breitenbach]] の塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。}}
 반하 Pinellia ternata Breitenbachの塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。
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==市場流通品と現状==
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戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。
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調剤用の半夏は伝統的に○切り加工される。これは原形の規格がわかることと、表面積を大きくし抽出効率を増やすためである。
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-甲級・無S-(天恵)-06.jpg|無硫半夏 甲級
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-乙級・無S-15.jpg|無硫半夏 乙級
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-丙級・無S-15.jpg|無硫半夏 丙級
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-四川-珍珠-15.jpg|無硫半夏 珍珠
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-乙級・有硫-(天恵)-06.jpg|有硫半夏 乙級
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-丙級・有硫-(天恵)-06.jpg|有硫半夏 丙級
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-甲○切-06.jpg|調剤用 無硫半夏 甲級(○切)
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-乙○切-06.jpg|調剤用 無硫半夏 乙級(○切)
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲ-甘粛-丙○切-06.jpg|調剤用 無硫半夏 丙級(○切)
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Image:Tochimoto-Pinellia-ハンゲとテンナンショウ-03.jpg|半夏(左)と天南星(右)
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【市場流通品と現状】
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==生産加工状況==
 戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。
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半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。
 調剤用の半夏は伝統的に○切り加工される。これは原形の規格がわかることと、表面積を大きくし抽出効率を増やすためである。
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0718.jpg|農家から集荷された半夏
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0716.jpg|農家からの半夏は皮去り状態、大きさは不揃い
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0736.jpg|水洗兼研磨機に投入する
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0722.jpg|水を満タンに注ぎ込む
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0735.jpg|水洗兼研磨機:回転軸の上下左右にブラシ固定
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0733.jpg|ブラシは竹に鉄線が埋め込まれたもの
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0750.jpg|水が注入された状態
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0744.jpg|上部を麻袋で覆い回転させる
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0746.jpg|終了後は下部から水を抜く
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0756.jpg|研磨した半夏の搬出
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0753.jpg|搬出後に再度簡単に水洗
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0711.jpg|薄く広げて日干し乾燥
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0710.jpg|乾燥中の研磨された半夏
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0772.jpg|乾燥後に網目の違うふるいで等級分け
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0774.jpg|奥から甲・乙・丙・珍珠と分けられ包装
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===輸出用選別===
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輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0781.jpg|選別中の作業員
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0784.jpg|電気はなく、扉側の太陽光での選別
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0788.jpg|一粒ずつ手で選別
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0787.jpg|選別後の良品の半夏
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Image:Tochimoto-Pinellia-CIMG0785.jpg|選別後の規格外の半夏
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===中国の半夏栽培===
 
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【生産加工状況】
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 半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。
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*輸出用選別
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 輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。
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選別後の規格外の半夏
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*中国の半夏栽培
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半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。
 
半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2937.jpg|栽培用の半夏の種芋
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2939.jpg|半夏の種芋の植付け作業
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2943.jpg|畝の横に溝を切る
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2947.jpg|溝に水を注ぎ込む
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2948.jpg|散水後の溝に種芋を植える
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2968.jpg|覆土して完了
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2932.jpg|栽培半夏の地上部
 +
Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2925.jpg|栽培半夏の試し掘り上げ
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2926.jpg|掘り上げた栽培半夏
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Image:Tochimoto-Pinellia-DSCN2929.jpg|大小様々な栽培半夏
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==理化学的品質評価==
  
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{| class="wikitable sortable"
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|+ 産地別理化学試験 DATA<br/><small>対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)</small>
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|-
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! 産地 || 検体数 || 灰分<br/>3.5%以下 || 酸不溶性灰分 || 乾燥減量<br/>14.0%以下 || 希エタノール<br/>エキス含量
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|-
 +
| 中国ALL || 296 || 2.2±0.4 || 0.12±0.06 || 11.6±2.4 || 4.0±1.4
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|-
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| 四川 || 80 || 2.2±0.5 || 0.11±0.03 || 11.4±2.8 || 3.6±1.6
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|-
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| 甘粛 || 60 || 2.1±0.4 || 0.11±0.02 || 10.8±2.6 || 3.6±1.4
 +
|-
 +
| 貴州 || 44 || 2.4±0.3 || 0.14±0.10 || 12.8±1.7 || 4.8±0.9
 +
|-
 +
| 雲南 || 24 || 2.3±0.3 || 0.16±0.13 || 11.8±1.2 || 4.3±0.9
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|}    
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;灰分
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:貴州 > 四川, 甘粛 ( p < 0.05 )
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:雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ) 
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;希エタノールエキス含量
 +
:貴州, 雲南 > 四川, 甘粛 ( p < 0.05 )
 +
:貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ) 
  
【理化学的品質評価】
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{| class="wikitable sortable"
 +
|+ 等級別理化学試験 DATA<br/><small>対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)</small>
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|-
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! 等級 || 検体数 || 灰分<br/>3.5%以下 || 酸不溶性灰分 || 乾燥減量<br/>14.0%以下 || 希エタノール<br/>エキス含量
 +
|-
 +
| 甲級 || 34 || 2.0 ±0.3 || 0.11 ±0.04 || 11.9 ±2.3 || 3.9 ±1.7
 +
|-
 +
| 乙級 || 71 || 2.1 ±0.3 || 0.11 ±0.05 || 11.7 ±2.4 || 4.2 ±1.5
 +
|-
 +
| 丙級 || 91 || 2.1 ±0.4 || 0.11 ±0.02 || 11.3 ±2.6 || 3.9 ±1.6
 +
|-
 +
| 珍珠 || 70 || 2.4 ±0.4 || 0.13 ±0.10 || 12.5 ±1.6 || 4.5 ±1.0
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|}
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;灰分
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:珍珠 > 丙, 乙, 甲級 ( p < 0.05 )
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;希エタノールエキス含量
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:珍珠 > 丙, 甲級 ( p < 0.05 )
 +
:その他は有意差無し
  
TableⅠ 産地別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)
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==内部形態:鏡検==
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|valign="top"|
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;生薬の性状 JP15
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本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。
  
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本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。
  
 +
本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。
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|[[Image:Tochimoto-Pinellia-cmt398.jpg]]
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|}
  
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===各種比較===
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| '''半夏''' 甲級 <中国甘粛省>
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| '''天南星'''<br/>横切面(大きな油道が認められる)
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| '''天南星'''<br/>横切面(油道は認められるが小さい)
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|rowspan="3"|[[Image:Tochimoto-Pinellia-半夏(甘粛・甲級)J.jpg|120px]]
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|[[Image:Tochimoto-Pinellia-天南星・横切-1J.jpg|150px]]
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|[[Image:Tochimoto-Pinellia-天南星・横切-2J.jpg|150px]]
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|-
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| 束針晶
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| 集晶
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|[[Image:Tochimoto-Pinellia-天南星・束針晶J.jpg|150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Pinellia-天南星・集晶J.jpg|150px]]
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|-
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|colspan="3"|
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* シュウ酸カルシウムの束針晶は、半夏、天南星ともに認められるが、集晶は、天南星には認められ、半夏には認められない。なお、中国で天南星として用いられる [[Species:Arisaema|''Arisaema'']] 属植物の塊茎で、集晶が認められないものもある。
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* 横切面において、天南星には油道が認められることが多いが、半夏には認められない。
  
 
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|}
 
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対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む)         Mean±SD(%)
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○ 灰分 : 貴州 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ). 
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○ 希エタノールエキス含量 :
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貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ). 
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TableⅡ 等級別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)
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対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む)         Mean±SD(%)
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○ 灰分 : 珍珠 > 丙級, 乙級, 甲級 ( p < 0.05 ).
+
○ 希エタノールエキス含量 :
+
珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し. 
+
 
+
【内部形態:鏡検】
+
<生薬の性状> JP15
+
本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。
+
 本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。
+
 本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。
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●各種比較
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 ○半夏 甲級 <中国甘粛省> ○天南星
+
・横切面(大きな油道が認められる) ・横切面(油道は認められるが小さい)
+
・束針晶 ・集晶
+
<半夏と天南星の比較>
+
・シュウ酸カルシウムの束針晶は、半夏、天南星ともに認められるが、集晶は、天南星には認められ、半夏には認められない。なお、中国で天南星として用いられる Arisaema 属植物の塊茎で、集晶が認められないものもある。
+
・横切面において、天南星には油道が認められることが多いが、半夏には認められない。
+

Latest revision as of 15:10, 7 December 2010

Crude-drug Top
Gallery
General Index Names Prescriptions Books Journals Terminology Chinese Medicines
Tochimoto-logo.gif出典: 栃本天海堂創立60周年記念誌

[edit] 半夏 (Pinellia Tuber)

Pinellia ternata Breitenbach:日本
Pinellia ternata Breitenbach:中国

半夏はサトイモ科のカラスビシャクPinellia ternata Breitenbachのコルク層を除いた塊茎を基原とする。生産期は5月中旬で、半分夏であることから「半夏」と言われるようになった。節季の七十二候に「半夏生(ハンゲショウズ)」の雑節があるが、これは半夏(烏柄杓:カラスビシャク)という薬草が生えるころを意味していることも興味深い。半夏は畑や田んぼの畔に多く自生しており、本草書に「守田」「水玉」の名があるのも理解できる。残念なことだが水田で農薬が使用されるようになり、野生品が減少している。 流通する半夏の多くは野生品の採集で生産されている。そのためか同じサトイモ科の「天南星」が混入することが多く、生薬の外部形態からは識別が難しいのが現状である。また古来、半夏は白くて大きなものが良品とされ、中国の生産では漂白を目的に硫黄燻蒸が一般的に行われており、SO2残留の安全性や、硫黄酸化物による大気汚染の問題があるため、当社では硫黄燻蒸を施さない「無硫半夏」を特別に生産し、「有硫半夏」と区別している。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌

Contents

[edit] 半  夏

『日本薬局方 15改正(JP15)』

  • 半夏:PINELLIAE TUBER
カラスビシャク Pinellia ternata BreitenbachAraceae)のコルク層を除いた塊茎と規定されている。

『中華人民共和国薬典2005年版』

  • 半夏:RHIZOMA PINELLIAE
半夏 Pinellia ternata (Thunb.) Breit. の乾燥した塊茎と規定されている。

『大韓薬典 第9改正』

  • 반하 半夏:PINELLIAE TUBER
반하 Pinellia ternata Breitenbach の塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。

[edit] 市場流通品と現状

戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。 調剤用の半夏は伝統的に○切り加工される。これは原形の規格がわかることと、表面積を大きくし抽出効率を増やすためである。

[edit] 生産加工状況

半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。

[edit] 輸出用選別

輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。

[edit] 中国の半夏栽培

半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。

[edit] 理化学的品質評価

産地別理化学試験 DATA
対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)
産地 検体数 灰分
3.5%以下
酸不溶性灰分 乾燥減量
14.0%以下
希エタノール
エキス含量
中国ALL 296 2.2±0.4 0.12±0.06 11.6±2.4 4.0±1.4
四川 80 2.2±0.5 0.11±0.03 11.4±2.8 3.6±1.6
甘粛 60 2.1±0.4 0.11±0.02 10.8±2.6 3.6±1.4
貴州 44 2.4±0.3 0.14±0.10 12.8±1.7 4.8±0.9
雲南 24 2.3±0.3 0.16±0.13 11.8±1.2 4.3±0.9
    
灰分
貴州 > 四川, 甘粛 ( p < 0.05 )
雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ) 
希エタノールエキス含量
貴州, 雲南 > 四川, 甘粛 ( p < 0.05 )
貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ) 
等級別理化学試験 DATA
対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)
等級 検体数 灰分
3.5%以下
酸不溶性灰分 乾燥減量
14.0%以下
希エタノール
エキス含量
甲級 34 2.0 ±0.3 0.11 ±0.04 11.9 ±2.3 3.9 ±1.7
乙級 71 2.1 ±0.3 0.11 ±0.05 11.7 ±2.4 4.2 ±1.5
丙級 91 2.1 ±0.4 0.11 ±0.02 11.3 ±2.6 3.9 ±1.6
珍珠 70 2.4 ±0.4 0.13 ±0.10 12.5 ±1.6 4.5 ±1.0
灰分
珍珠 > 丙, 乙, 甲級 ( p < 0.05 )
希エタノールエキス含量
珍珠 > 丙, 甲級 ( p < 0.05 )
その他は有意差無し

[edit] 内部形態:鏡検

生薬の性状 JP15

本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。

本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。

本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。

Tochimoto-Pinellia-cmt398.jpg

[edit] 各種比較

半夏 甲級 <中国甘粛省> 天南星
横切面(大きな油道が認められる)
天南星
横切面(油道は認められるが小さい)
Tochimoto-Pinellia-半夏(甘粛・甲級)J.jpg Tochimoto-Pinellia-天南星・横切-1J.jpg Tochimoto-Pinellia-天南星・横切-2J.jpg
束針晶 集晶
Tochimoto-Pinellia-天南星・束針晶J.jpg Tochimoto-Pinellia-天南星・集晶J.jpg
  • シュウ酸カルシウムの束針晶は、半夏、天南星ともに認められるが、集晶は、天南星には認められ、半夏には認められない。なお、中国で天南星として用いられる Arisaema 属植物の塊茎で、集晶が認められないものもある。
  • 横切面において、天南星には油道が認められることが多いが、半夏には認められない。
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