Tochimoto:Pinelliae Tuber
(New page: 半 夏 PINELLIAE TUBER 半夏はサトイモ科のカラスビシャクPinellia ternata Breitenbachのコルク層を除いた塊茎を基原とする。生産期は5月中旬で...) |
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반하 Pinellia ternata Breitenbachの塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。 | 반하 Pinellia ternata Breitenbachの塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。 | ||
+ | ==市場流通品と現状== | ||
+ | 戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。 | ||
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+ | ==生産加工状況== | ||
+ | 半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。 | ||
*輸出用選別 | *輸出用選別 | ||
輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。 | 輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。 | ||
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選別後の規格外の半夏 | 選別後の規格外の半夏 | ||
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*中国の半夏栽培 | *中国の半夏栽培 | ||
半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。 | 半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。 | ||
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TableⅠ 産地別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量) | TableⅠ 産地別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量) | ||
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対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%) | 対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%) | ||
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○ 希エタノールエキス含量 : | ○ 希エタノールエキス含量 : | ||
貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ). | 貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ). | ||
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TableⅡ 等級別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量) | TableⅡ 等級別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量) | ||
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珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し. | 珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し. | ||
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+ | ====生薬の性状 JP15==== | ||
本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。 | 本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。 | ||
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+ | 本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。 | ||
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+ | 本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。 | ||
●各種比較 | ●各種比較 |
Revision as of 10:59, 3 November 2010
Contents |
半 夏
『日本薬局方 15改正(JP15)』 半夏:PINELLIAE TUBER カラスビシャク Pinellia ternata Breitenbach (Araceae) のコルク層を除いた塊茎と規定されている。
『中華人民共和国薬典2005年版』 半夏:RHIZOMA PINELLIAE 半夏 Pinellia ternata (Thunb.) Breit. の乾燥した塊茎と規定されている。
『大韓薬典 第9改正』 반하 半夏:PINELLIAE TUBER 반하 Pinellia ternata Breitenbachの塊茎で周皮を完全に除いたものと規定されている。
市場流通品と現状
戦前は日本国内でも採集されていたが、現在は北海道などで少量栽培されているに過ぎない。韓国から輸入されて流通したことはあるが、現在は中国産が市場を占めている。半夏の等級は粒の大きさで特級(150-180粒/500g)、甲級(350-400粒/500g)、乙級(700-800粒/500g)、丙級(1350-1500粒/500g)、珍珠(1500粒以上/500g)の5段階がある。それ以外に粒度選別をしない統庄品も市場には流通する。
調剤用の半夏は伝統的に○切り加工される。これは原形の規格がわかることと、表面積を大きくし抽出効率を増やすためである。
生産加工状況
半夏は乾燥すると周皮がはがれにくいため、一般的には採集した農家が新鮮な時に皮を去り、乾燥して加工場、購買所で取引を行う。
*輸出用選別 輸出規格は周皮が完全に除かれ、変色していないものとされている。農家での皮去りは不十分であり、水洗兼研磨機では完全に周皮を去ることができないため、目視選別が必要となる。当然、粒度の大きい甲・乙級などと珍珠では時間あたりの選別重量が異なるため、珍珠規格の選別加工賃は割高に設定されている。選別作業員の賃金は出来高支払い制により、選別の精度に問題はなく、選別速度は速い。
選別後の規格外の半夏
*中国の半夏栽培 半夏は四川省、甘粛省、雲南省、貴州省、湖北省、湖南省など各地で小麦の収穫後に生産されていたが、農薬使用の拡大にともなって生産量は減少している。現在、半夏の価格上昇によって甘粛省、四川省などで栽培が進んできているが生産量はまだ少ない。
理化学的品質評価
TableⅠ 産地別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)
対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)
○ 灰分 : 貴州 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 雲南 > 甘粛 ( p < 0.05 ). ○ 希エタノールエキス含量 : 貴州, 雲南 > 四川,甘粛 ( p < 0.05 ). 貴州 > 雲南 ( p < 0.1 ).
TableⅡ 等級別理化学試験 DATA (灰分,酸不溶性灰分,乾燥減量,希エタノールエキス含量)
対象:1985年~2009年市場品(一部、蒐集サンプルを含む) Mean±SD(%)
○ 灰分 : 珍珠 > 丙級, 乙級, 甲級 ( p < 0.05 ). ○ 希エタノールエキス含量 : 珍珠 > 丙級, 甲級 ( p < 0.05 ). その他は有意差無し.
内部形態:鏡検
生薬の性状 JP15
本品はやや偏圧された球形~不整形を呈し、径0.7~2.5cm、高さ0.7~1.5cmである。外面は白色~灰白黄色で、上部には茎の跡がくぼみとなり、その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている。質は充実する。切面は白色、粉性である。
本品はほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残す。
本品の横切片を鏡検するとき、主としてでんぷん粒を充満した柔組織からなり、わずかにシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞が認められる。でんぷん粒は主として2~3個の複粒で、通例、径10~15μm、単粒は、通例、径3~7µmである。束晶は長さ25~150μmである。
●各種比較 ○半夏 甲級 <中国甘粛省> ○天南星 ・横切面(大きな油道が認められる) ・横切面(油道は認められるが小さい) ・束針晶 ・集晶 <半夏と天南星の比較> ・シュウ酸カルシウムの束針晶は、半夏、天南星ともに認められるが、集晶は、天南星には認められ、半夏には認められない。なお、中国で天南星として用いられる Arisaema 属植物の塊茎で、集晶が認められないものもある。 ・横切面において、天南星には油道が認められることが多いが、半夏には認められない。