Tochimoto:Corydalis Tuber
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Revision as of 10:38, 16 December 2010
Crude-drug Top Gallery |
General Index | Names | Prescriptions | Books | Journals | Terminology | Chinese Medicines |
出典: 栃本天海堂創立60周年記念誌 |
延胡索 (Corydalis Tuber)
延胡索は、ケシ科のCorydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu の塊茎を基原とする。原名は「玄胡索」だが、宋の皇帝・真宗の諱(イミナ:本名のこと。中国では古くから主君など目上の者の本名を呼ぶことは極めて無礼なこと。)を避け、「延胡索」と改められた(清の皇帝・康熙帝の諱を避けたという説もある)。 第二改正国民医薬品集(1955年)に初めて延胡索が収載され、その基原植物としてCorydalis ternata Nakai が挙げられていた。これは韓国産の「朝鮮延胡索」を想定しており、1970年代まで市場は低価格の朝鮮延胡索が主流で高価な中国産の「唐延胡索」はほとんど見られなかった。 その後、唐延胡索の価格が低下し、市場は唐延胡索に置き換わり、日本市場から朝鮮延胡索は姿を消すことになった。日局第13改正(1996年)で朝鮮延胡索C. ternata は削除され、現在は韓国市場に流通するのみである。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
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延 胡 索
『日本薬局方 15改正(JP15)』
- 延胡索:CORYDALIS TUBER
- Corydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (Papaveraceae) の塊茎と規定されている。
『中華人民共和国薬典2005年』
- 延胡索(元胡):RHIZOMA CORYDALIS
- 延胡索 Corydalis yanhusuo W. T. Wang の干燥した塊茎と規定されている。
『大韓薬典 第9改正』
- 현호색 玄胡索:CORYDALIS TUBER
- 들현호색 Corydalis ternata Nakaiあるいはその他同属近縁植物(Papaveraceae) の塊茎と規定されている。
市場流通品と現状
唐延胡索は「元胡」とも呼ばれ、主に浙江省で栽培されており、浙江省の8大生薬「浙八味」の一つである。商品規格は粒の大きさで「甲」「乙」に分けられ、規格外の「等外」も流通する。 表皮は黄褐色で少し皺があり、内部の色調が蝋状の黄色のものが良品とされているが、これらは加工技術に大きく左右される。
生産加工状況
唐延胡索は10月に種芋(塊茎)を植付け、その後地下茎が伸び翌年2月頃に塊茎が増え始め、4月頃に最も肥大する。5月に温度が25℃を超えると地上部は枯れ、収穫時期になる。収穫した延胡索の中間的な粒度の延胡索を種芋として土中に保管する。種芋50kgで生の延胡索約500kgが収穫でき、乾燥生薬で約160kgになる。 唐延胡索は新鮮な延胡索を水洗後、熱湯で湯通しをする伝統的な加工方法で生産される。
延胡索の栽培地と加工調製 浙江省東陽市
理化学的品質評価
産地 | 検体数 | 灰分 3.0%以下 |
乾燥減量 15.0%以下 |
希エタノール エキス含量 |
水製 エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
中国ALL | 119 | 2.1 ±0.2 | 12.9 ±1.0 | 12.4 ±1.5 | 15.0 ±1.8 |
甲 級 | 49 | 2.1 ±0.2 | 12.9 ±0.9 | 12.4 ±1.6 | 15.0 ±2.0 |
乙 級 | 23 | 2.1 ±0.2 | 13.1 ±1.2 | 12.6 ±1.8 | 15.4 ±2.3 |
特別規格 | 25 | 2.2 ±0.2 | 12.7 ±0.9 | 13.0 ±0.8 | 14.8 ±1.0 |
- 灰分
- 特別規格 > 甲級, 乙級 ( p < 0.05 )
- 希エタノールエキス含量
- 特別規格 > 甲級 (p < 0.1 )
- 水製エキス含量
- いずれも有意差無し.
産地 | 検体数 | dehydrocorydaline 0.08%以上 |
corydaline |
---|---|---|---|
中国ALL | 143 | 0.172 ±0.036 | 0.200 ±0.054 |
甲 級 | 26 | 0.144 ±0.017 | 0.137 ±0.030 |
乙 級 | 8 | 0.162 ±0.019 | 0.151 ±0.013 |
特別規格 | 58 | 0.192 ±0.032 | 0.223 ±0.038 |
- dehydrocorydaline
- 特別規格 > 乙級 > 甲級 ( p < 0.05 )
- corydaline
- 特別規格 > 乙級, 甲級 ( p < 0.05 )
内部形態:鏡検
JP15:内部形態についての記載はない。
本品はほぼ偏球形を呈し、径1~2cmで、一端に茎の跡がある。外面は灰黄色~灰褐色で質は堅く、破砕面は黄色で平滑または灰黄緑色で粒状である。 本品はほとんどにおいがなく、味は苦い。 Corydalis属は、39節、約428種が広く世界に分布するといわれ、このうち38節,約288種が中国に分布している。このうち塊茎をつくるものは4節であり、分布が局地に限られるものを除くと、Sect. Duplotuberと Sect. Pes-gallinaceus の2つの節に限られる。Sect. Duplotuber にはチョウセンエンゴサク C. ternata (Nakai) Nakai (C. nakaii Ishidoya) および、ジロボウエンゴサク C. decumbens (Thunb.) Persが含まれる。Sect. Pesgallinaceusには C. yanhusuo Wang ex Su et Wu (C. turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu)が含まれるとされている。 |
内部形態の比較(市場品)
浙江省産市場品の横切面では、形成層は明瞭で環状につながっている。道管は形成層の近くに散在しており、中央に髄がある。コルク層を表面視するとコルク細胞は厚膜の長条形である。 韓国産市場品の横切面では、維管束が放射状に配列し、形成層は不明瞭で放射組織によって分断され、環状につながらない。コルク層を表面視すると、コルク細胞は薄膜の多角形である。
○延胡索 甲級 <中国浙江省> |
○延胡索 乙級 <中国浙江省>・上部 |
○延胡索 <韓国> |
韓国産の延胡索ではでんぷん粒が認められたが、中国産の延胡索ではでんぷん粒は認められなかった。これは、韓国産は生干しであるため、デンプン粒がつぶれずに認められるのに対して、中国産では湯通し加工の過程で、でんぷんが糊化しているためだと、考えられる(糊化したでんぷんは、偏光下でも光らない)。
○糊化でんぷん <中国産> |
○でんぷん粒 <韓国産> |
部位による内部形態の比較 ①
兵庫県柏原における試験栽培品(浙江省産を種付け)は浙江省市場品と同様の形態を呈していた。 <横切面> ・形成層は明瞭で環状につながる。 ・道管は形成層の近くに散在している。 ・中央に髄がある。
○試験栽培品 (種塊茎/親) |
○試験栽培品 (新塊茎/子) |
○試験栽培品 (塊茎間) |
部位による内部形態の比較 ②
○試験栽培品 (種塊茎/親)A |
○試験栽培品 (種塊茎/親)B |
○試験栽培品 (種塊茎/親)C |
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