Tochimoto:Artemisiae capillaris Flos

From Metabolomics.JP
(Difference between revisions)
Jump to: navigation, search
(New page: 茵 陳 蒿 ARTEMISIAE CAPILLARIS FLOS 茵陳蒿はキク科のカワラヨモギArtemisia capillaris Thunbergを基原とする。「因陳蒿」つまり陳旧の根より生じるよ...)
 
m (→‎理化学的品質評価)
 
(24 intermediate revisions by 2 users not shown)
Line 1: Line 1:
−
茵 陳 蒿
+
{{CrudeDrug/Header}}
−
ARTEMISIAE  CAPILLARIS  FLOS
+
  
−
茵陳蒿はキク科のカワラヨモギArtemisia capillaris Thunbergを基原とする。「因陳蒿」つまり陳旧の根より生じるよもぎというカワラヨモギの性質から名付けられ、後に草冠を付けられた。日本では通例、秋口に採集した地上部の頭花を使用するが、中国では春季の幼苗で背丈が6～10cmころの地上部を採集した「綿茵陳」と秋季に花の蕾を採集した「茵陳蒿」の2種類が同効生薬とされている。本品は清熱・利水・利胆薬として使用される生薬で、茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散などに配合されている。
+
{| style="float:right"
−
神農本草経の上品に「因陳」の名で収載され、「名医別録」では「五月及び立秋に採り陰乾する」と記載されている。
+
|__TOC__
 +
|}
 +
==茵 陳 蒿==
  
−
『日本薬局方 第15改正（JP15）』
+
{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『日本薬局方 第15改正（JP15）』|茵陳蒿：ARTEMISIAE CAPILLARIS FLOS
−
茵陳蒿：ARTEMISIAE CAPILLARIS FLOS
+
|カワラヨモギ [[Species:Artemisia|''Artemisia capillaris'' Thunberg]] （[[:Category:Compositae|Compositae]]）の頭花で、径2mm以上の茎を含まないと規定されている。}}
−
カワラヨモギ Artemisia capillaris Thunberg（Compositae）の頭花で、径2mm以上の茎を含まないと規定されている。
+
  
−
『中華人民共和国薬典 2005年版』
+
{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『中華人民共和国薬典 2005年版』|茵陳：HERBA ARTEMISIAE SCOPARIAE
−
茵陳：HERBA ARTEMISIAE SCOPARIAE
+
|浜蒿[[Species:Artemisia|''Artemisia scoparia'' Waldst. et Kit.]] あるいは茵陳蒿''Artemisia capillaris'' Thunb. の干燥した地上部と規定されている。春に幼苗を採集したものを“綿茵陳”、秋に花の蕾を採集したものを“茵陳蒿”と称する。}}
−
浜蒿Artemisia scoparia Waldst. et Kit.あるいは茵陳蒿Artemisia capillaris Thunb.の干燥した地上部と規定されている。春に幼苗を採集したものを“綿茵陳”、秋に花の蕾を採集したものを“茵陳蒿”と称する。
+
  
−
『大韓薬典外生薬規格集2007年』
+
{{Tochimoto/PharmacopeiaLink|『大韓薬典外生薬規格集2007年』|인진호　茵蔯蒿：ARTEMISIAE CAPILLARIS HERBA
−
・인진호　茵蔯蒿：ARTEMISIAE CAPILLARIS HERBA
+
|인진（茵陳）　사철쑥 [[Species:Artemisia|''Artemisia capillaris'' Thunberg]] の地上部
−
인진（茵陳）　사철쑥 Artemisia capillaris Thunbergの地上部
+
|한인진　韓茵蔯：ARTEMISIAE IWAYOMOGII HERBA
−
・한인진　韓茵蔯：ARTEMISIAE IWAYOMOGII HERBA
+
|더위지기 ''Artemisia iwayomogi'' Kitamura の地上部}}
−
더위지기Artemisia iwayomogi Kitamuraの地上部
+
 
以上2種が規定されている。
 
以上2種が規定されている。
  
−
茵陳蒿は日本、中国、韓国で使用される基原植物、薬用部位に違いがある。また、近年ハマヨモギ Artemisia scoparia Waldst. et Kit.とカワラヨモギ Artemisia capillaris Thunb.とは同一基原植物と考えられている。
+
茵陳蒿は日本、中国、韓国で使用される基原植物、薬用部位に違いがある。また、近年ハマヨモギ ''Artemisia scoparia'' Waldst. et Kit. とカワラヨモギ ''Artemisia capillaris'' Thunb. とは同一基原植物と考えられている。
  
−
 
+
==市場流通品と現状==
−
【市場流通品と現状】
+
 
日本の市場流通品には、日本産と中国産がある。日本産は頭花のみを選別して使用する「コボレ」と呼ばれる規格と、頭花を含めて葉や茎を一緒に刻み加工した「切込み（キリコミ）」と呼ばれる規格がある。中国産は、日本産のコボレと同じく頭花のみを選別して使用する「茵陳蒿」と、わずかであるが春先の幼苗の地上部を使用する「綿茵陳」が流通する。
 
日本の市場流通品には、日本産と中国産がある。日本産は頭花のみを選別して使用する「コボレ」と呼ばれる規格と、頭花を含めて葉や茎を一緒に刻み加工した「切込み（キリコミ）」と呼ばれる規格がある。中国産は、日本産のコボレと同じく頭花のみを選別して使用する「茵陳蒿」と、わずかであるが春先の幼苗の地上部を使用する「綿茵陳」が流通する。
 +
 
日本産茵陳蒿はほとんどが野生品を採集して生産されるが、長野県などの一部の地域では栽培も行われている。「コボレ茵陳蒿」の主な産地は甲信越地方（新潟県、長野県、群馬県、山梨県、静岡県、富山県など）で、「切込み茵陳蒿」は四国（徳島県吉野川流域・香川県など）で生産される。産地により頭花の大きさを比較すると、四国に産するものは甲信越地方などで産するものより小さい傾向がある。また中国産茵陳蒿も頭花は小ぶりで、香味が薄い傾向がある。「綿茵陳」は日本では生産されず、中国産のみが流通する。
 
日本産茵陳蒿はほとんどが野生品を採集して生産されるが、長野県などの一部の地域では栽培も行われている。「コボレ茵陳蒿」の主な産地は甲信越地方（新潟県、長野県、群馬県、山梨県、静岡県、富山県など）で、「切込み茵陳蒿」は四国（徳島県吉野川流域・香川県など）で生産される。産地により頭花の大きさを比較すると、四国に産するものは甲信越地方などで産するものより小さい傾向がある。また中国産茵陳蒿も頭花は小ぶりで、香味が薄い傾向がある。「綿茵陳」は日本では生産されず、中国産のみが流通する。
 +
<center>
 +
<gallery caption="" perrow="4">
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-インチンコウ-長野-こぼれ栽培-（高木）-03.jpg|コボレ茵陳蒿：日本
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-インチンコウ-四国-切込み-（亀井）-03.jpg|切込み茵陳蒿：日本
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-インチンコウ-中国-03.jpg|茵陳蒿：中国
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-メンインチン-標本用-（柏原）-09.jpg|綿茵陳：中国
 +
</gallery>
 +
</center>
  
 +
==生産加工状況==
 +
===日本産茵陳蒿===
 +
カワラヨモギは一般的に川原に自生しており、梅雨などで増水し水かさが増えた時期に冠水する場所に生育する。隣接する冠水することがない場所にはオトコヨモギ [[Species:Artemisia|''A. japonica'' Thunb.]] などが自生しており、茵陳蒿にオトコヨモギの混入が懸念されることがあるが、それぞれの生育場所は冠水するかしないかで明確に区別されている。そのため、経験豊富な採集者が誤ってオトコヨモギを採集することはない。
  
 +
近年、河川の護岸工事が進み冠水する場所が減少しており、それにより自生するカワラヨモギが減少する傾向にある。
  
 +
;自生場所
 +
<center>
 +
<gallery caption="" perrow="4">
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-インチンコウ-群馬県-神流川流域.jpg|群馬県神流川流域
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-018.jpg|長野県奈良井川流域
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-008.jpg|長野県奈良井川の中州：（松本市）
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-020.jpg|野生茵陳蒿：背丈50～60cm
 +
</gallery>
 +
</center>
  
 +
;加工調製
 +
採集時期は9月下旬から10月下旬の霜が下りる前までとされ、長野県では9月23日～10月25日ころと決めて採集される。採集時期が集中するため、低温の温風乾燥と陰干しの自然乾燥の2通りが行われている。温風乾燥の方が若干色調は良く仕上がるが、品質に差異はない。温風乾燥は約1週間、自然乾燥の場合は約40日かかる。
 +
乾燥後、脱穀機で脱粒し、ふるいにかけて茎・葉などの異物を除去し、カワラヨモギの頭花のみを選別して製品とする。
 +
<center>
 +
<gallery caption="" perrow="3">
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-008-インチンコウ-群馬県-961010.jpg|採集されたカワラヨモギ
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-007-インチンコウ-群馬県-961010.jpg|温風乾燥（25～30℃）
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-008-インチンコウ-乾燥.jpg|自然乾燥：室内乾燥棚
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-080-インチンコウ-群馬県-961010.jpg|脱穀機
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-012-インチンコウ-脱穀.jpg|脱穀機による脱粒
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-011-インチンコウ-脱穀.jpg|脱粒あがりの茵陳蒿
 +
</gallery>
 +
</center>
  
 +
脱粒した後にも一部茎などが混じっているため、ふるいをかけて頭花のみを茵陳蒿に仕上げる。
 +
{|
 +
<center>
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-014-インチンコウ-脱穀.jpg|thumb|320px|左：除去した茎など異物、中央上：茵陳蒿製品、右：脱粒あがり]]
 +
|}
 +
</center>
  
 +
;カワラヨモギの栽培（長野県）
 +
<center>
 +
<gallery caption="" perrow="4">
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-055.jpg|カワラヨモギ栽培畑
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-034.jpg|背丈は約120cm位と野生の2倍近くある
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-054.jpg|カワラヨモギ収穫風景
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-051.jpg|上部60cmを刈取る
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-040.jpg|刈取り後の残茎は引き抜く
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-053.jpg|約10kgで束ねる
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-052.jpg|束ねられたカワラヨモギ
 +
</gallery>
 +
</center>
  
 +
===中国産茵陳蒿　江蘇省海安===
 +
中国産のハマヨモギは内陸部に自生しており、群生している。
 +
<center>
 +
<gallery caption="" perrow="4">
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-ハマヨモギ自生地-1.jpg|ハマヨモギ自生地
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-07自生地.jpg|ハマヨモギ自生地
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-05自生地.jpg|ハマヨモギ
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-19自生地.jpg|ハマヨモギ
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-自生地　背丈.jpg|植物の背丈は約100～130cm
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-49インチンコウの選別.jpg|茵陳蒿の選別
 +
Image:Tochimoto-Artemisia-46インチンコウの乾燥.jpg|茵陳蒿の乾燥
 +
</gallery>
 +
</center>
  
 +
==理化学的品質評価==
  
 +
{| class="wikitable sortable"
 +
|+ 産地別理化学試験 DATA <br/><small>対象：1985年～2009年市場品（一部、蒐集サンプルを含む）　Mean±SD（%）</small>
 +
|-
 +
! 産地 || 規格 || 検体数 || 灰分<br/>9.0％以下 || 酸不溶性灰分<br/>2.0％以下 || 乾燥減量<br/>12.0％以下 || 希エタノール<br/>エキス含量<br/>15.0％以上
 +
|-
 +
| 日本・長野 || 生／コボレ || 54 || 7.0 ±0.4 || 0.6 ±0.2 || 11.1 ±1.3 || 24.6 ±3.2
 +
|-
 +
| 日本・群馬 || 生／コボレ || 49 || 6.6 ±0.8 || 0.6 ±0.4 || 9.7 ±1.4 || 25.5 ±3.8
 +
|-
 +
| 日本・四国 || 切込み || 39 || 5.8 ±1.0 || 0.5 ±0.5 || 9.5 ±1.6 || 19.3 ±3.3
 +
|-
 +
| 中国・江蘇 || 生／コボレ || 12 || 7.7 ±0.4 || 1.3 ±0.4 || 11.4 ±1.3 || 20.5 ±1.9
 +
|-
 +
| 韓国 || 生／コボレ || 9 || 7.6 ±0.4 || 1.3 ±0.5 || 11.9 ±1.4 || 13.8 ±3.9
 +
|}
  
 +
; 灰分 : 中国江蘇、韓国 ＞ 長野 ＞ 群馬 ＞ 四国 （ p < 0.05 ）
 +
; 希エタノールエキス含量 : 群馬，長野 ＞ 中国江蘇，四国 ＞ 韓国 （ p < 0.05 ）
  
 +
====capillarisin, 6,7-dimethylesculetin 含量の比較====
 +
{| class="wikitable sortable"
 +
|+ 産地別理化学試験 DATA<br/><small>対象：1985年～2009年市場品（一部、蒐集サンプルを含む）　Mean±SD（%）</small>
 +
|-
 +
! 産地 || 規格 || 検体数 || capillarisin || 6,7-dimethylesculetin
 +
|-
 +
| 日本・長野 || 生／コボレ || 29 || 0.32 ±0.08 || 0.64 ±0.17
 +
|-
 +
|日本・群馬 || 生／コボレ || 21 || 0.36 ±0.09 || 0.64 ±0.10
 +
|-
 +
|日本・四国 || 切込み || 17 || 0.39 ±0.13 || 0.38 ±0.12
 +
|-
 +
|中国・江蘇 || 生／コボレ || 15 || 0.12 ±0.10 || 1.57 ±0.30
 +
|-
 +
|中国・湖北 || 生／コボレ || 3 || 1.07 ±0.03 || 2.60 ±0.21
 +
|}
 +
; capillarisin : 中国湖北 ＞ 四国，群馬，長野 ＞ 中国江蘇 （ p < 0.05 ）
 +
: 四国 ＞ 長野 （ p < 0.05 ）
 +
; 6,7-dimethylesculetin : 中国湖北 ＞ 中国江蘇 ＞ 長野，群馬 ＞ 四国 （ p < 0.05 ）
  
 +
* 四国産以外は6,7-dimethylesculetin 含量がcapillarisin含量より高いが、四国産の切込みのみこれらの含量に差が認められない。切込みは生（コボレ）とは異なり、径2mm未満の茎及び花序軸を含むものであり、茎及び花序軸には6,7-dimethylesculetin よりもcapillarisinが多く含まれていることによるものである。(Natural Medicines 53（5）， 229-236, 1999）
  
 +
;収穫時期による成分含量の変動 （調査地：徳島県美馬郡・吉野川の川辺）
 +
<center>
 +
[[Image:Tochimoto-Artemisia-P8　グラフ.jpg|500px|]]
 +
</center>
  
−
 
+
==内部形態：鏡検==
−
 
+
{|
−
 
+
|
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
【生産加工状況】
+
−
１．日本産茵陳蒿
+
−
　カワラヨモギは一般的に川原に自生しており、梅雨などで増水し水かさが増えた時期に冠水する場所に生育する。隣接する冠水することがない場所にはオトコヨモギ A. japonica Thunb.などが自生しており、茵陳蒿にオトコヨモギの混入が懸念されることがあるが、それぞれの生育場所は冠水するかしないかで明確に区別されている。そのため、経験豊富な採集者が誤ってオトコヨモギを採集することはない。
+
−
　近年、河川の護岸工事が進み冠水する場所が減少しており、それにより自生するカワラヨモギが減少する傾向にある。
+
−
＊自生場所
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
＊加工調製
+
−
　採集時期は9月下旬から10月下旬の霜が下りる前までとされ、長野県では9月23日～10月25日ころと決めて採集される。採集時期が集中するため、低温の温風乾燥と陰干しの自然乾燥の2通りが行われている。温風乾燥の方が若干色調は良く仕上がるが、品質に差異はない。温風乾燥は約1週間、自然乾燥の場合は約40日かかる。
+
−
　乾燥後、脱穀機で脱粒し、ふるいにかけて茎・葉などの異物を除去し、カワラヨモギの頭花のみを選別して製品とする。
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
　　脱粒した後にも一部茎などが混じっているため、ふるいをかけて頭花のみを茵陳蒿に仕上げる。
+
−
 
+
−
＊カワラヨモギの栽培（長野県）
+
−
 
+
−
 
+
−
２．中国産茵陳蒿　江蘇省海安
+
−
　中国産のハマヨモギは内陸部に自生しており、群生している。
+
−
 
+
−
【理化学的品質評価】
+
−
 
+
−
TableⅠ　産地別理化学試験 DATA（灰分、酸不溶性灰分、乾燥減量、希エタノールエキス含量）
+
−
 
+
−
産地 規格 検体数 灰分 酸不溶性灰分 乾燥減量 希エタノールエキス含量
+
−
9.0％以下 2.0％以下 12.0％以下 15.0％以上
+
−
日本・長野 生／コボレ 54 7.0±0.4 0.6±0.2 11.1±1.3 24.6±3.2
+
−
日本・群馬 生／コボレ 49 6.6±0.8 0.6±0.4 9.7±1.4 25.5±3.8
+
−
日本・四国 切込み 39 5.8±1.0 0.5±0.5 9.5±1.6 19.3±3.3
+
−
中国・江蘇 生／コボレ 12 7.7±0.4 1.3±0.4 11.4±1.3 20.5±1.9
+
−
韓国 生／コボレ 9 7.6±0.4 1.3±0.5 11.9±1.4 13.8±3.9
+
−
 
+
−
 
+
−
対象：1985年～2009年市場品（一部、蒐集サンプルを含む）　　　　　　　　　　　　　　Mean±SD（%）
+
−
 
+
−
○ 灰分 ： 中国江蘇、韓国 ＞ 長野 ＞ 群馬 ＞ 四国 （ p < 0.05 ）
+
−
○ 希エタノールエキス含量 ： 群馬，長野 ＞ 中国江蘇，四国 ＞ 韓国 （ p < 0.05 ）
+
−
 
+
−
TableⅡ　産地別理化学試験 DATA（成分含量：capillarisin，6,7-dimethylesculetin）
+
−
 
+
−
産地 規格 検体数 capillarisin 6,7-dimethylesculetin
+
−
日本・長野 生／コボレ 29 0.32±0.08 0.64±0.17
+
−
日本・群馬 生／コボレ 21 0.36±0.09 0.64±0.10
+
−
日本・四国 切込み 17 0.39±0.13 0.38±0.12
+
−
中国・江蘇 生／コボレ 15 0.12±0.10 1.57±0.30
+
−
中国・湖北 生／コボレ 3 1.07±0.03 2.60±0.21
+
−
対象：1985年～2009年市場品（一部、蒐集サンプルを含む）　　    　Mean±SD（%）
+
−
○ capillarisin ： 中国湖北 ＞ 四国，群馬，長野 ＞ 中国江蘇 （ p < 0.05 ）
+
−
○ capillarisin ： 四国 ＞ 長野 （ p < 0.05 ）
+
−
○ 6,7-dimethylesculetin ： 中国湖北 ＞ 中国江蘇 ＞ 長野，群馬 ＞ 四国 （ p < 0.05 ）
+
−
 
+
−
  Topic
+
−
１．  四国産以外は6,7-dimethylesculetin 含量がcapillarisin含量より高いが、四国産の切込みのみこれらの含量に差が認められない。切込みは生（コボレ）とは異なり、径2mm未満の茎及び花序軸を含むものであり、茎及び花序軸には6,7-dimethylesculetin よりもcapillarisinが多く含まれていることによるものである。                            　　　　　　　　　　Natural Medicines 53（5）， 229-236（1999）
+
−
 
+
−
２．収穫時期による成分含量の変動 （調査地：徳島県美馬郡・吉野川の川辺）
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
 
+
−
【内部形態：鏡検】
+
 
JP15：内部形態についての記載はない。
 
JP15：内部形態についての記載はない。
−
 
+
;生薬の性状
−
＜生薬の性状＞
+
 
本品は卵形～球形の長さ1.5～2mm、径約2mmの頭花を主とし、糸状の葉と花序軸からなる。頭花の外面は淡緑色～淡黄褐色、葉の外面は緑色～緑褐色、花序軸の外面は緑褐色～暗褐色を呈する。頭花をルーペ視するとき、総ほう片は3～4列に覆瓦状に並び、外片は卵形で鈍頭、内片はだ円形で外片より長く、長さ1.5mm、内片の中央部は竜骨状となり、周辺部は広く薄膜質となる。小花は筒状花で、頭花の周辺部のものは雌性花、中央部は両性花である。そう果は倒卵形で、長さ0.8mmである。質は軽い。
 
本品は卵形～球形の長さ1.5～2mm、径約2mmの頭花を主とし、糸状の葉と花序軸からなる。頭花の外面は淡緑色～淡黄褐色、葉の外面は緑色～緑褐色、花序軸の外面は緑褐色～暗褐色を呈する。頭花をルーペ視するとき、総ほう片は3～4列に覆瓦状に並び、外片は卵形で鈍頭、内片はだ円形で外片より長く、長さ1.5mm、内片の中央部は竜骨状となり、周辺部は広く薄膜質となる。小花は筒状花で、頭花の周辺部のものは雌性花、中央部は両性花である。そう果は倒卵形で、長さ0.8mmである。質は軽い。
−
　本品は特異な弱いにおいがあり、味はやや辛く、わずかに麻ひ性である。
+
本品は特異な弱いにおいがあり、味はやや辛く、わずかに麻ひ性である。
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-cmt112.jpg|250px]]
 +
|}
  
−
 
+
===産地による比較===
−
●産地による比較
+
{|
−
　○茵陳蒿 ＜長野県＞
+
| 茵陳蒿 ＜長野県＞検体1 花柄
−
検体1　花柄 検体2　花柄
+
| 茵陳蒿 ＜長野県＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・長野・花柄1Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・長野・花柄2Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| 茵陳蒿 ＜群馬県＞検体1 花柄
 +
| 茵陳蒿 ＜群馬県＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・群馬・花柄1Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・群馬・花柄2Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| 茵陳蒿 ＜香川県＞検体1 花柄
 +
| 茵陳蒿 ＜香川県＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・香川・花柄1Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・香川・花柄2Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| 茵陳蒿 ＜中国浙江省＞検体1 花柄
 +
| 茵陳蒿 ＜中国浙江省＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・日式・花柄1Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・日式・花柄3Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| 茵陳蒿 ＜中国江蘇省＞検体1 花柄
 +
| 茵陳蒿 ＜中国江蘇省＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・江蘇・花柄1Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・江蘇・花柄2Ｊ.jpg|150x150px]]
 +
|}
 
 
−
　○茵陳蒿 ＜群馬県＞
+
===野生品と栽培品の比較===
−
検体 1　花柄 検体2　花柄
+
{|
 +
| 茵陳蒿（栽培） ＜長野県＞検体1 花柄
 +
| 茵陳蒿（栽培） ＜長野県＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄1J.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄2J.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| （偏光視野）
 +
| （偏光視野）
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄1偏光J.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄2偏光J.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| 茵陳蒿（野生） ＜長野県＞検体1 花柄
 +
| 茵陳蒿（野生） ＜長野県＞検体2 花柄
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄1J.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄2J.jpg|150x150px]]
 +
|}
 +
{|
 +
| （偏光視野）
 +
| （偏光視野）
 +
|-
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄1偏光J.jpg|150x150px]]
 +
|[[Image:Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄2偏光J.jpg|150x150px]]
 +
|}
 
 
−
　○茵陳蒿 ＜香川県＞
+
===産地と花頭の大きさ（㎜）===
−
検体1　花柄 検体2　花柄
+
[[Image:Tochimoto-Artemisia-cmt115.jpg|400px]]
−
+
{| class="wikitable"
−
　○茵陳蒿 ＜中国浙江省＞
+
! 産　地
−
検体1　花柄 検体2　花柄
+
!colspan="2"| 長野県松本市 || 群馬県多野郡 || 徳島県美馬郡 || 香川県綾歌郡 || 中国江蘇省
−
+
|-
−
　○茵陳蒿 ＜中国江蘇省＞
+
|  || （栽培） || （野生） || （野生） || （野生） || （野生） || （野生）
−
検体1　花柄 ・検体 2　花柄
+
|-
−
+
| 長　さ || 2.22 ±0.14 || 2.08 ±0.17 || 2.04 ±0.10 || 2.09 ±0.15 || 1.85 ±0.13 || 1.54 ±0.17
−
 
+
|-
−
 
+
| （幅） || 1.43 ±0.18 || 1.29 ±0.19 || 1.37 ±0.13 || 1.35 ±0.20 || 0.80 ±0.07 || 1.06 ±0.09
−
●野生品と栽培品の比較
+
|}
−
　○茵陳蒿（栽培） ＜長野県＞
+
−
検体1　花柄 検体2　花柄
+
−
+
−
　○茵陳蒿（野生） ＜長野県＞
+
−
検体 1　花柄 検体2　花柄
+
−
+
−
 
+
−
 
+
−
産地と花頭の大きさ（㎜）　
+
−
 
+
−
産　地 長野県松本市 群馬県多野郡 徳島県美馬郡 香川県綾歌郡 中国江蘇省
+
−
（栽培） （野生） （野生） （野生） （野生） （野生）
+
−
長　さ 2.22±0.14 2.08±0.17 2.04±0.10 2.09±0.15 1.85±0.13 1.54±0.17
+
−
（幅） 1.43±0.18 1.29±0.19 1.37±0.13 1.35±0.20 0.80±0.07 1.06±0.09
+
−
　
+

Latest revision as of 00:33, 25 December 2010

Crude-drug Top
Gallery 		General Index Names Prescriptions Books Journals Terminology Chinese Medicines
Tochimoto-logo.gif出典: 栃本天海堂創立60周年記念誌

[edit] 茵陳蒿 (Artemisiae capillaris Flos)

Artemisia capillaris Thunberg
Artemisia scoparia Waldst. et Kit
Artemisia capillaris Thunberg

茵陳蒿はキク科のカワラヨモギArtemisia capillaris Thunbergを基原とする。「因陳蒿」つまり陳旧の根より生じるよもぎというカワラヨモギの性質から名付けられ、後に草冠を付けられた。日本では通例、秋口に採集した地上部の頭花を使用するが、中国では春季の幼苗で背丈が6～10cmころの地上部を採集した「綿茵陳」と秋季に花の蕾を採集した「茵陳蒿」の2種類が同効生薬とされている。本品は清熱・利水・利胆薬として使用される生薬で、茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散などに配合されている。 神農本草経の上品に「因陳」の名で収載され、「名医別録」では「五月及び立秋に採り陰乾する」と記載されている。　(より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌）

Contents

[edit] 茵 陳 蒿

『日本薬局方 第15改正（JP15）』

  • 茵陳蒿：ARTEMISIAE CAPILLARIS FLOS
カワラヨモギ Artemisia capillaris Thunberg （Compositae）の頭花で、径2mm以上の茎を含まないと規定されている。

『中華人民共和国薬典 2005年版』

  • 茵陳：HERBA ARTEMISIAE SCOPARIAE
浜蒿Artemisia scoparia Waldst. et Kit. あるいは茵陳蒿Artemisia capillaris Thunb. の干燥した地上部と規定されている。春に幼苗を採集したものを“綿茵陳”、秋に花の蕾を採集したものを“茵陳蒿”と称する。

『大韓薬典外生薬規格集2007年』

  • 인진호　茵蔯蒿：ARTEMISIAE CAPILLARIS HERBA
인진（茵陳）　사철쑥 Artemisia capillaris Thunberg の地上部
  • 한인진　韓茵蔯：ARTEMISIAE IWAYOMOGII HERBA
더위지기 Artemisia iwayomogi Kitamura の地上部

以上2種が規定されている。

茵陳蒿は日本、中国、韓国で使用される基原植物、薬用部位に違いがある。また、近年ハマヨモギ Artemisia scoparia Waldst. et Kit. とカワラヨモギ Artemisia capillaris Thunb. とは同一基原植物と考えられている。

[edit] 市場流通品と現状

日本の市場流通品には、日本産と中国産がある。日本産は頭花のみを選別して使用する「コボレ」と呼ばれる規格と、頭花を含めて葉や茎を一緒に刻み加工した「切込み（キリコミ）」と呼ばれる規格がある。中国産は、日本産のコボレと同じく頭花のみを選別して使用する「茵陳蒿」と、わずかであるが春先の幼苗の地上部を使用する「綿茵陳」が流通する。

日本産茵陳蒿はほとんどが野生品を採集して生産されるが、長野県などの一部の地域では栽培も行われている。「コボレ茵陳蒿」の主な産地は甲信越地方（新潟県、長野県、群馬県、山梨県、静岡県、富山県など）で、「切込み茵陳蒿」は四国（徳島県吉野川流域・香川県など）で生産される。産地により頭花の大きさを比較すると、四国に産するものは甲信越地方などで産するものより小さい傾向がある。また中国産茵陳蒿も頭花は小ぶりで、香味が薄い傾向がある。「綿茵陳」は日本では生産されず、中国産のみが流通する。

  • コボレ茵陳蒿：日本

  • 切込み茵陳蒿：日本

  • 茵陳蒿：中国

  • 綿茵陳：中国

[edit] 生産加工状況

[edit] 日本産茵陳蒿

カワラヨモギは一般的に川原に自生しており、梅雨などで増水し水かさが増えた時期に冠水する場所に生育する。隣接する冠水することがない場所にはオトコヨモギ A. japonica Thunb. などが自生しており、茵陳蒿にオトコヨモギの混入が懸念されることがあるが、それぞれの生育場所は冠水するかしないかで明確に区別されている。そのため、経験豊富な採集者が誤ってオトコヨモギを採集することはない。

近年、河川の護岸工事が進み冠水する場所が減少しており、それにより自生するカワラヨモギが減少する傾向にある。

自生場所

  • 群馬県神流川流域

  • 長野県奈良井川流域

  • 長野県奈良井川の中州：（松本市）

  • 野生茵陳蒿：背丈50～60cm

加工調製

採集時期は9月下旬から10月下旬の霜が下りる前までとされ、長野県では9月23日～10月25日ころと決めて採集される。採集時期が集中するため、低温の温風乾燥と陰干しの自然乾燥の2通りが行われている。温風乾燥の方が若干色調は良く仕上がるが、品質に差異はない。温風乾燥は約1週間、自然乾燥の場合は約40日かかる。 乾燥後、脱穀機で脱粒し、ふるいにかけて茎・葉などの異物を除去し、カワラヨモギの頭花のみを選別して製品とする。

  • 採集されたカワラヨモギ

  • 温風乾燥（25～30℃）

  • 自然乾燥：室内乾燥棚

  • 脱穀機

  • 脱穀機による脱粒

  • 脱粒あがりの茵陳蒿

脱粒した後にも一部茎などが混じっているため、ふるいをかけて頭花のみを茵陳蒿に仕上げる。

左：除去した茎など異物、中央上：茵陳蒿製品、右：脱粒あがり
カワラヨモギの栽培（長野県）

  • カワラヨモギ栽培畑

  • 背丈は約120cm位と野生の2倍近くある

  • カワラヨモギ収穫風景

  • 上部60cmを刈取る

  • 刈取り後の残茎は引き抜く

  • 約10kgで束ねる

  • 束ねられたカワラヨモギ

[edit] 中国産茵陳蒿　江蘇省海安

中国産のハマヨモギは内陸部に自生しており、群生している。

  • ハマヨモギ自生地

  • ハマヨモギ自生地

  • ハマヨモギ

  • ハマヨモギ

  • 植物の背丈は約100～130cm

  • 茵陳蒿の選別

  • 茵陳蒿の乾燥

[edit] 理化学的品質評価

産地別理化学試験 DATA
対象：1985年～2009年市場品（一部、蒐集サンプルを含む）　Mean±SD（%）
産地 規格 検体数 灰分
9.0％以下 		酸不溶性灰分
2.0％以下 		乾燥減量
12.0％以下 		希エタノール
エキス含量
15.0％以上
日本・長野 生／コボレ 54 7.0 ±0.4 0.6 ±0.2 11.1 ±1.3 24.6 ±3.2
日本・群馬 生／コボレ 49 6.6 ±0.8 0.6 ±0.4 9.7 ±1.4 25.5 ±3.8
日本・四国 切込み 39 5.8 ±1.0 0.5 ±0.5 9.5 ±1.6 19.3 ±3.3
中国・江蘇 生／コボレ 12 7.7 ±0.4 1.3 ±0.4 11.4 ±1.3 20.5 ±1.9
韓国 生／コボレ 9 7.6 ±0.4 1.3 ±0.5 11.9 ±1.4 13.8 ±3.9
灰分 
中国江蘇、韓国 ＞ 長野 ＞ 群馬 ＞ 四国 （ p < 0.05 ）
希エタノールエキス含量 
群馬，長野 ＞ 中国江蘇，四国 ＞ 韓国 （ p < 0.05 ）

[edit] capillarisin, 6,7-dimethylesculetin 含量の比較

産地別理化学試験 DATA
対象：1985年～2009年市場品（一部、蒐集サンプルを含む）　Mean±SD（%）
産地 規格 検体数 capillarisin 6,7-dimethylesculetin
日本・長野 生／コボレ 29 0.32 ±0.08 0.64 ±0.17
日本・群馬 生／コボレ 21 0.36 ±0.09 0.64 ±0.10
日本・四国 切込み 17 0.39 ±0.13 0.38 ±0.12
中国・江蘇 生／コボレ 15 0.12 ±0.10 1.57 ±0.30
中国・湖北 生／コボレ 3 1.07 ±0.03 2.60 ±0.21
capillarisin 
中国湖北 ＞ 四国，群馬，長野 ＞ 中国江蘇 （ p < 0.05 ）
四国 ＞ 長野 （ p < 0.05 ）
6,7-dimethylesculetin 
中国湖北 ＞ 中国江蘇 ＞ 長野，群馬 ＞ 四国 （ p < 0.05 ）
  • 四国産以外は6,7-dimethylesculetin 含量がcapillarisin含量より高いが、四国産の切込みのみこれらの含量に差が認められない。切込みは生（コボレ）とは異なり、径2mm未満の茎及び花序軸を含むものであり、茎及び花序軸には6,7-dimethylesculetin よりもcapillarisinが多く含まれていることによるものである。(Natural Medicines 53（5）， 229-236, 1999）
収穫時期による成分含量の変動 （調査地：徳島県美馬郡・吉野川の川辺）

Tochimoto-Artemisia-P8 グラフ.jpg

[edit] 内部形態：鏡検

JP15：内部形態についての記載はない。

生薬の性状

本品は卵形～球形の長さ1.5～2mm、径約2mmの頭花を主とし、糸状の葉と花序軸からなる。頭花の外面は淡緑色～淡黄褐色、葉の外面は緑色～緑褐色、花序軸の外面は緑褐色～暗褐色を呈する。頭花をルーペ視するとき、総ほう片は3～4列に覆瓦状に並び、外片は卵形で鈍頭、内片はだ円形で外片より長く、長さ1.5mm、内片の中央部は竜骨状となり、周辺部は広く薄膜質となる。小花は筒状花で、頭花の周辺部のものは雌性花、中央部は両性花である。そう果は倒卵形で、長さ0.8mmである。質は軽い。 本品は特異な弱いにおいがあり、味はやや辛く、わずかに麻ひ性である。

Tochimoto-Artemisia-cmt112.jpg

[edit] 産地による比較

茵陳蒿 ＜長野県＞検体1 花柄 茵陳蒿 ＜長野県＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・長野・花柄1Ｊ.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・長野・花柄2Ｊ.jpg
茵陳蒿 ＜群馬県＞検体1 花柄 茵陳蒿 ＜群馬県＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・群馬・花柄1Ｊ.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・群馬・花柄2Ｊ.jpg
茵陳蒿 ＜香川県＞検体1 花柄 茵陳蒿 ＜香川県＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・香川・花柄1Ｊ.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・香川・花柄2Ｊ.jpg
茵陳蒿 ＜中国浙江省＞検体1 花柄 茵陳蒿 ＜中国浙江省＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・日式・花柄1Ｊ.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・日式・花柄3Ｊ.jpg
茵陳蒿 ＜中国江蘇省＞検体1 花柄 茵陳蒿 ＜中国江蘇省＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・江蘇・花柄1Ｊ.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・江蘇・花柄2Ｊ.jpg

[edit] 野生品と栽培品の比較

茵陳蒿（栽培） ＜長野県＞検体1 花柄 茵陳蒿（栽培） ＜長野県＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄1J.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄2J.jpg
（偏光視野） （偏光視野）
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄1偏光J.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・栽培・花柄2偏光J.jpg
茵陳蒿（野生） ＜長野県＞検体1 花柄 茵陳蒿（野生） ＜長野県＞検体2 花柄
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄1J.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄2J.jpg
（偏光視野） （偏光視野）
Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄1偏光J.jpg Tochimoto-Artemisia-茵陳蒿・野生・花柄2偏光J.jpg

[edit] 産地と花頭の大きさ（㎜）

Tochimoto-Artemisia-cmt115.jpg

産　地 長野県松本市 群馬県多野郡 徳島県美馬郡 香川県綾歌郡 中国江蘇省
（栽培） （野生） （野生） （野生） （野生） （野生）
長　さ 2.22 ±0.14 2.08 ±0.17 2.04 ±0.10 2.09 ±0.15 1.85 ±0.13 1.54 ±0.17
（幅） 1.43 ±0.18 1.29 ±0.19 1.37 ±0.13 1.35 ±0.20 0.80 ±0.07 1.06 ±0.09
Retrieved from "http://metabolomics.jp/mediawiki/index.php?title=Tochimoto:Artemisiae_capillaris_Flos&oldid=281193"
Personal tools
Namespaces

Variants
Actions
Navigation
metabolites
Toolbox