Aritalab:Lecture/Basic/CodonTable
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|colspan="2" rowspan="2" style="background:tan"| '''CU'''N<br/>Leucine | |colspan="2" rowspan="2" style="background:tan"| '''CU'''N<br/>Leucine | ||
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− | |rowspan="2"| '''AA'''Y<br/>Asparagine | + | |rowspan="2" style="background:#FF99FF"| '''AA'''Y<br/>Asparagine |
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===コドン表の特徴=== | ===コドン表の特徴=== | ||
====塩基置換によってアミノ酸の性質はあまり変化しない==== | ====塩基置換によってアミノ酸の性質はあまり変化しない==== | ||
− | * <span style="background:mistyrose"> | + | * <span style="background:mistyrose">桜色</span>: 酸性アミノ酸 (Asp, Glu) |
− | * <span style="background:lightblue">水色</span> | + | * <span style="background:#ff99ff">ピンク色</span>: アミド基アミノ酸 (Asn, Gln) |
− | * <span style="background:aquamarine">緑色</span> | + | * <span style="background:lightblue">水色</span>: 塩基性アミノ酸 (Lys, Arg, His) |
− | * <span style="background:plum">紫色</span> | + | * <span style="background:aquamarine">緑色</span>: 水酸基を持つ中性アミノ酸 (Ser, Thr) |
− | * <span style="background:tan">茶色</span> | + | * <span style="background:plum">紫色</span>: ベンゼン環を持つアミノ酸 (Phe, Tyr) |
+ | * <span style="background:tan">茶色</span>: 分岐アミノ酸 (Val, Leu, Ile) コドンの二番目にUがきます。 | ||
====プリン間、ピリミジン間の置換でアミノ酸が変化するのは2箇所だけ==== | ====プリン間、ピリミジン間の置換でアミノ酸が変化するのは2箇所だけ==== | ||
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真正細菌や古細菌は、GUG(バリン)、 AUA(イソロイシン)、UUG(ロイシン)も開始コドンとして使用する場合があります。 | 真正細菌や古細菌は、GUG(バリン)、 AUA(イソロイシン)、UUG(ロイシン)も開始コドンとして使用する場合があります。 | ||
− | + | ;N-ホルミルメチオニン (N-formylmethionine) | |
+ | 真正細菌、バクテリア、ミトコンドリア、クロロプラストでは開始コドンのAUGがN-ホルミルメチオニンに対応し、真核生物(オルガネラを除く)や古細菌では通常のメチオニンに対応します。 | ||
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+ | ホルミル化は、 methionyl-tRNA formyltransferase という酵素によってtRNA(fMet)にメチオニンが付加された後に行なわれます。メチオニンのtRNAであるtRNA(Met)に対してホルミル化は行なわれません。 | ||
;終止コドン | ;終止コドン |
Revision as of 09:27, 15 December 2010
Contents |
Codon Table
このコドン表は一般の書き方と異なり、一塩基の違いが近くにくるように配置されています。表の上下と左右の端はのり付けされていると考えてください。表中で R は purine (A or G), Y は pyrimidine (U or C), N は4種の塩基 (A/C/G/U) をあらわします。
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コドン1文字目
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コドン2文字目
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コドン3文字目
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UUR Leucine |
UUY Phenylalanine |
UAY Tyrosine |
UAR STOP |
GAR Glutamic acid |
GAY Aspartic acid |
GUN Valine | |
UCN Serine |
UGY Cysteine |
UGA STOP |
GGN Glycine |
GCN Alanine | |||
UGG Tryptophan | |||||||
CCN Proline |
CGN Arginine |
AGR Arginine |
AGY Serine |
ACN Threonine | |||
CUN Leucine |
CAY Histidine |
CAR Glutamine |
AAR Lysine |
AAY Asparagine |
AUY Isoleucine |
AUA Isoleucine | |
AUG Methionine |
コドン表の特徴
塩基置換によってアミノ酸の性質はあまり変化しない
- 桜色: 酸性アミノ酸 (Asp, Glu)
- ピンク色: アミド基アミノ酸 (Asn, Gln)
- 水色: 塩基性アミノ酸 (Lys, Arg, His)
- 緑色: 水酸基を持つ中性アミノ酸 (Ser, Thr)
- 紫色: ベンゼン環を持つアミノ酸 (Phe, Tyr)
- 茶色: 分岐アミノ酸 (Val, Leu, Ile) コドンの二番目にUがきます。
プリン間、ピリミジン間の置換でアミノ酸が変化するのは2箇所だけ
UGA (STOP) と UGG (Trp)、および AUA (Ile) と AUG (Met) だけは、コドン3塩基目のトランジション変異 (A↔G) によってアミノ酸が変わってしまいます。 後述するように、UGAはトリプトファンを含むアミノ酸をコードする場合があり、AUAは複雑な認識機構でイソロイシンをコードします。
開始、終止コドン
- 開始コドン
生物の多くは AUG (メチオニン)を開始コドンとします。 真正細菌や古細菌は、GUG(バリン)、 AUA(イソロイシン)、UUG(ロイシン)も開始コドンとして使用する場合があります。
- N-ホルミルメチオニン (N-formylmethionine)
真正細菌、バクテリア、ミトコンドリア、クロロプラストでは開始コドンのAUGがN-ホルミルメチオニンに対応し、真核生物(オルガネラを除く)や古細菌では通常のメチオニンに対応します。
ホルミル化は、 methionyl-tRNA formyltransferase という酵素によってtRNA(fMet)にメチオニンが付加された後に行なわれます。メチオニンのtRNAであるtRNA(Met)に対してホルミル化は行なわれません。
- 終止コドン
一般的な終止コドンは UGA, UAA, UAG です。 寄生生物などコドン使用にAT方向へのバイアスがあるとUAAの利用率は上昇します。しかし利用率が下がるのはUGAコドンのみで、UAGコドン利用率は変化しません。
終止コドンは各タンパク質で1回しか使われないため、機能が最も変化しやすいコドンでもあります。 実際に以下の変異が多く観測されています。
- UGA: トリプトファン, セレノシステイン
- UAG: ピロリジン
イソロイシン(AUAコドン)の認識機構
メチオニンとイソロイシンは性質の良く似たアミノ酸です。メチオニンは AUG, イソロイシンは AUU, AUC, AUA にコードされます。 メチオニンと第3位が揺らぎをおこしやすい AUA コドンの認識は、生物によって異なります。
真核生物
tRNAIle1はアンチコドン IAU (I = inosine) を持ち、イソロイシンの3種のコドンすべてを読むことができます。またアンチコドン ΨAΨをもつ tRNAIle2があり、これはコドンAUAのみを認識し、メチオニンのコドンAUGを認識しません[1]。
- ↑ Senger B, Auxilien S, Englisch U, Cramer F, Fasiolo F (1997) "The modified wobble base inosine in yeast tRNAIle is a positive determinant for aminoacylation by isoleucyl-tRNA synthetase" Biochemistry 36:8269–8275
バクテリア
成熟していない tRNAIle2 はCAUアンチコドンを持ち、メチオニンのコドンである AUG を認識してしまいます。そして、メチオニルtRNA合成酵素 (MetRS) がメチオニンを付加でき、あたかもメチオニンtRNAとして働けます。しかし、アンチコドン CAU の一文字目の2-ケト基がリシジン合成酵素 (TilS) によってリシンに置換されると、LAUというアンチコドンはイソロイシンのコドンである AUA のみを認識します[1]。 つまり、イソロイシルtRNA合成酵素 (IleRS) がLAUアンチコドンを持つtRNAIle2にイソロイシンを付加します[2]。
イソロイシンのコドン位置にメチオニンを取り込む間違いを防ぐため、TilSは tRNA(Ile2) にメチオニルtRNA合成酵素が働く前に作用しなくてはなりません。実際に、tRNA(Ile2)がプロセシング(5'と3'にある配列やイントロンの除去と、CCA末端の付加)をうけて成熟する以前にTilSが作用します[3]。
- ↑ Muramatsu T, Nishikawa K, Nemoto F, Kuchino Y, Nishimura S, Miyazawa T, Yokoyama S (1988) "Codon and amino-acid specificities of a transfer RNA are both converted by a single post-transcriptional modification" Nature 336:179–81
- ↑ Soma A et al. (2003) "An RNA-modifying enzyme that governs both the codon and amino acid specificities of isoleucine tRNA" Mol Cell 12:689–698
- ↑ Nakanishi K, Bonnefond L, Kimura S, Suzuki T, Ishitani R, Nureki O (2009) "Structural basis for translational fidelity ensured by transfer RNA lysidine synthetase" Nature 461(7267):1144-8
古細菌
バクテリアに同じく、tRNAIle2はCAUコドンを持っています。そのままではAUGを認識するはずですが、実際にはAUAのみ認識し、AUC, AUG, AUUは認識しません。 またtRNAIle1はAUC, AUUを認識し、AUA, AUGは認識しません。
メチオニンを受容する tRNAIle2 の一文字目はリシジンではなく、アグマチニルシチジン(アグマチジン)へと修飾されます。古細菌には TilS が存在せず、かわりにアグマチジン合成酵素 (TiaS) が、Cの2-ケト基をアグマチンに置換して2アグマチジン化することで、イソロイシンtRNAとして働きます [1][2]。 アグマチン化は Haloarcula marismortui, Methanococcus maripaludis, Sulfolobus solfataricus に見られ、euryarchaea と crenarchaea に共通です。また、TilS と TiaS は配列相同性が低く、異なる進化を経たと考えられています。
- ↑ Mandal D, Köhrer C, Su D, Russell SP, Krivos K, Castleberry CM, Blum P, Limbach PA, Söll D, RajBhandary UL (2010) "Agmatidine, a modified cytidine in the anticodon of archaeal tRNAIle, base pairs with adenosine but not with guanosine" Proc Natl Acad Sci U S A 107(7):2872-7
- ↑ Ikeuchi Y, Kimura S, Numata T, Nakamura D, Yokogawa T, Ogata T, Wada T, Suzuki T, Suzuki T (2010) "Agmatine-conjugated cytidine in a tRNA anticodon is essential for AUA decoding in archaea" Nature Chem Biol 6(4):277-82