Aritalab:Lecture/Biochem/Modularity

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負のフィードバックは出力量に比例して入力部分を抑えるように働くため、出力を
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負のフィードバックは出力量に比例して入力部分を抑えるように働くため、以下の効果を持ちます。
 
* 平衡状態に導いて安定させる、か
 
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* 振動させる
 
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働きを持ちます。安定効果は想像しやすいですが、振動現象はわかりにくいかもしれません。
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安定効果は想像しやすいですが、振動現象はわかりにくいかもしれません。
 
シミュレーションソフトを用いると、その動きを実感することができます。([[Aritalab:Lecture/Biochem/Modularity/NF|Cell Designerによるシミュレーションページへ]])
 
シミュレーションソフトを用いると、その動きを実感することができます。([[Aritalab:Lecture/Biochem/Modularity/NF|Cell Designerによるシミュレーションページへ]])
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===正のフィードバック===
 
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正のフィードバックは入力を増強させるように働くため、出力を 0 か 1 かといった極端な値に固定する働きを持ちます。
 
正のフィードバックは入力を増強させるように働くため、出力を 0 か 1 かといった極端な値に固定する働きを持ちます。

Revision as of 12:53, 20 June 2011

Contents

バイオロジーとモジュール

From molecular to modular cell biology
Hartwell LH, Hopfield JJ, Leibler S, Murray AW in Nature 402(6761 Suppl):C47-52


フィードバックループ

フィードバックは生体内の代表的なモジュールで、特に遺伝子発現や代謝のホメオスタシスを保つのに必要です。 入力信号を高めるように働く効果を正、弱めるように働く場合を負といいます。

負のフィードバック

負のフィードバックは出力量に比例して入力部分を抑えるように働くため、以下の効果を持ちます。

  • 平衡状態に導いて安定させる、か
  • 振動させる

安定効果は想像しやすいですが、振動現象はわかりにくいかもしれません。 シミュレーションソフトを用いると、その動きを実感することができます。(Cell Designerによるシミュレーションページへ

正のフィードバック

正のフィードバックは入力を増強させるように働くため、出力を 0 か 1 かといった極端な値に固定する働きを持ちます。


フィードフォワードループ

2000年を過ぎて急に注目され始めたモジュールが、フィードフォワードループです。とりわけ Uri Alon のグループが解析する大腸菌の転写因子に関するモデルが有名です。

大腸菌は周りの環境を数秒間で感知し、数分のうちに必要なタンパク質の合成を開始します。このような迅速な対応は、フィードバックループでは難しいと考えられています。大腸菌には転写制御因子が400ほどあり、これらが遺伝子とどのような相互作用をするのか、詳細なネットワーク解析がなされました。

  • R Milo, S Shen-Orr, S Itzkovitz, N Kashtan, D Chklovskii, U Alon )2002) "Network Motifs: Simple Building Blocks of Complex Networks" Science, 298:824-827
  • U Alon (2007) "Network motifs: theory and experimental approaches" Nature Reviews Genetics 8, 450-461

ネットワークモチーフ

転写制御ネットワークの中に、ランダムなネットワークと比較して頻出するパターンをネットワークモチーフと呼びます。

たとえば大腸菌の転写制御因子のおよそ1割は自分自身を制御するフィードバックループを持っています。フィードバックはタンパク質の産生量を安定化させるのに必要なモチーフというわけです。さらに、3つの遺伝子間の制御関係を調べてみると、考えられる13のパターンの中で、フィードフォワードループ (FFL) といわれる形が最も多い(40個程度ある)ことがわかりました。それに対して、3頂点のフィードバックループは大腸菌の転写制御因子には1つもありません。
Lecture-Biochem-Modularity-FFL.png

FFLには、負の制御と正の制御を考えれば 23 = 8 通りの制御関係が考えられます。そのうち、論理的につじつまがあう制御関係は半分です。 大腸菌と酵母の転写制御因子を調べると、8 通りの制御関係のうち 2 通りだけが頻出することがわかりました。 コヒーレントなフィードフォワードループは on/off 感受性を遅らせる ノイズ除去フィルター としてはたらくことがわかっています。 アラビノースの制御系で用いられていることがわかりました。グルコースが無く、アラビノースだけが存在する状況で必要な遺伝子を産生する際に利用されます。 またインコヒーレントなフィードフォワードループは パルス生成器 として働きます。応答時間を加速しているのです。

Lecture-Biochem-Modularity-FFL2.jpg

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